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「ロシアに戻ると決めました」露出身スケーターが夢見た“イタリア代表入り”は政治的理由で幻に終わる

THE DIGEST編集部

2022.10.11

新シーズンが開幕したフィギュアスケート界。ロシア勢は国際大会から除外されたままだ(写真はイメージ)。(C)Getty Images

 たとえ国外に活躍の場を移しても、ロシア人アスリートを待つ現実は厳しいようだ。

 現地10月10日、ロシア通信社『RIA Novosti』はロシア出身の女子フィギュアスケーター、マリア・タラライキナがイタリア代表チーム入りを断念し、ロシアに帰国する運びになったと報じた。

 現在20歳のタラライキナは昨年8月、ロシアからイタリアへ移住。イタリアに拠点を置くロシア人コーチの下で練習を積み、イタリア代表としての国際大会出場を目ざした。そして昨年末にはロシア・フィギュアスケート連盟(FFKKR)がスポーツ市民権の変更を許可し、正式に移籍を承認。しかしながら今年10月になって、イタリア政府がタラライキナに居住許可証を発効しないことが決定したという。

『RIA Novosti』はすぐさまタラライキナを直撃。選手本人は次のように状況を説明している。

「政治的な理由で、イタリア政府は居住許可証を出してくれませんでした。その公式文書がなければ、私はイタリア代表チームの一員として国際大会には出場できないだけでなく、これ以上イタリアにさえ滞在できないのです」

 2020年のロシア選手権で9位に入ったものの、分厚い選手層を誇るロシア・フィギュアスケート界にあって、代表メンバ―入りした経験は一度もない。イタリアで飛躍を期したものの、ロシア軍によるウクライナ侵攻作戦の影響はやはり甚大だった。

 軍事作戦さえなければ――。悲嘆に暮れるタラライキナは引退も考えたようだが、「私にはやはりフィギュアスケートに替わるものなどないと思い知った。だから、ロシアに戻ると決めたのです」と踏みとどまった。以前師事したエフゲニー・ルカビツィン氏が復帰を受け入れ、すでに彼女は帰国して古巣のグループに再合流したという。
 

 先日、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は、国際大会からの締め出しが続くロシア出身アスリートたちの今後について、「決してロシアを復帰させるという意味ではないが、ロシアのパスポートを持つアスリートで、戦争を支持しない者についての競技復帰を考えていきたい」と私見を述べて物議を醸した。

 ロシア国内から脱出して"国籍変更"を意図するアスリートは増加傾向にあるが、そこにもまた、さまざまな軋轢や障壁があるようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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