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【名馬列伝】“伝説”と呼ばれるウオッカvsダイワスカーレットの直接対決。ハナ差2㎝に散った松田国英調教師の『言葉』<後編>

三好達彦

2022.10.29

2008年11月2日、天皇賞(秋)。14番ウオッカ(左)と7番ダイワスカーレット(右)のライバル対決は僅かハナ差”約2cm”の決着でウオッカが制した。写真:産経新聞社

2008年11月2日、天皇賞(秋)。14番ウオッカ(左)と7番ダイワスカーレット(右)のライバル対決は僅かハナ差”約2cm”の決着でウオッカが制した。写真:産経新聞社

 前年の秋から不調をかこっていたウオッカは2008年、京都記念(GⅡ、京都・芝2200m)の6着を経て、ドバイへ遠征。ドバイデューティフリー(GⅠ、ナドアルシバ・芝1777m)に出走し、一旦は先頭を窺う見せ場は作ったものの4着に敗れた。帰国後の初戦に選んだヴィクトリアマイル(GⅠ、東京・芝1600m)では、勝ったエイジアンウインズを脅かす追い込みで2着に入り、勝利こそ挙げられなかったものの、復調の兆しを見せた。

 そして、上り調子で参戦した安田記念(GⅠ、東京・芝1600m)。単勝2番人気に支持されたウオッカは3~4番手を追走すると、久々に直線で爆発的な瞬発力を発揮し、香港馬のアルマダに3馬身半差をつけて圧勝。日本ダービー以来、約1年ぶりに勝利の美酒に酔った。

 ウオッカは秋の始動戦として毎日王冠(GⅡ、東京・芝1800m)を選択。意表を突く逃げに出て、直線坂上ではスーパーホーネットとの叩き合いとなった。最後は競り負けてアタマ差2着となったが、シーズン滑り出しとしては上々と言える結果だった。
 
 ダイワスカーレットは春シーズン、大阪杯(GⅡ、阪神・芝2000m)に参戦。クラシック二冠のメイショウサムソンら牡馬の強豪を退けて、堂々たる逃げ切り勝ちを収めた。しかし、レースからしばらくして脚部不安が出たため放牧に出され、以降、春季の出走を回避することになった。幸いにして7月には運動をスタートし、秋の復帰に目途が立った。そして陣営は、ステップレースを使わず、”ぶっつけ”で大一番へ向かうことを決断する。

 そして迎えるのが、ウオッカとダイワスカーレット。ライバル2頭にとって最後の直接対決にして、いまや”伝説”とも呼ばれる名レース、天皇賞(秋)(GⅠ、東京・芝2000m)である。単勝オッズ2.7倍でウオッカが1番人気に推され、対するダイワスカーレットはオッズ3.6倍で2番人気。次いで、この年の日本ダービーを制したディープスカイが4.1倍で3番人気となってスタートを迎えた。
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