ラグビー

元日本代表SH田中史朗に訊く欧州遠征2連戦の意味「力はいまや世界トップのレベルにある」

THE DIGEST編集部

2022.10.29

元日本代表の田中史朗が欧州遠征について語った。W杯本番1年前のテストマッチで良い結果を残さなければ、1年後の本番に大きなプレッシャーがかかってしまうという。

 ラグビー日本代表は11月に欧州遠征を行い、イングランド代表(12日)とフランス代表(20日)と対戦する。10月29日のニュージーランド戦では勝利へあと一歩と迫る善戦を見せた日本代表にとって、絶好の力試しとなる2連戦となるだろう。WOWOWでこの2試合の解説を務める元日本代表の田中史朗(NECグリーンロケッツ東葛)が、今回の遠征の見どころについて語っている。

 元日本代表スクラムハーフはまず、イングランド、フランスと対戦する日本代表の近況について、次のように語った。
 
「チームとしては本当にレベルが高くなっています。僕がプレーしていた時よりも断然レベルが高く、世界のトップチームとも渡り合えていると感じています。ただ、トライを取ったらすぐに取り返されたり、最後の最後でトライを取られるという昔からよくあるパターンは勝負どころの試合での影響が大きいので、改善が必要です。ペナルティも目立ちますがそこは1人1人の意識の問題で、話し合えば収まるでしょう。スモールトークやミーティングを繰り返しながら修正してほしいですし、同時に1人1人が代表のジャージーを着ることの意味を理解しながらプレーしてもらいたいです」

──課題もある一方で、今の日本代表の強みはどのあたりにあると思われますか?

「運動量ですね。世界的に見ても激しいトレーニングをしていますし、80分間しっかり走り切れるのはすごくいいところです。また、前回の19年W杯と違って誰が試合に出ても遜色がなく、いいプレーヤーが集まっています。試合中のメンバー交代もそうですし、試合によってメンバーが変わっても戦力として大きく変わることがありません。そういう意味ではいい状態だと思っています」

 対戦するイングランド代表は、23年W杯でも同組で対戦することが決まっている。またフランス代表は現在世界ランキング2位と勢いのあるチームだ。田中はこの強豪2チームにどんな印象をもっているのだろうか。

「イングランドに関しては、7月のオーストラリアとの3連戦の前はすごくミスが多く、日本としてはチャンスがあると思っていたのですが、しっかりと立て直してきました。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチが幅広くラグビーを見て、いろいろな人とコミュニケーションを取ってチームを再建したのだと思います。戦い方も少し変えてきているように感じますので、分析が必要です。

 一方フランスは、最近ようやく持ち前の"シャンパンラグビー"が戻ってきたように思います。その中でも、やはりスクラムハーフのアントワーヌ・デュポン選手の存在が際立っていますね。前に出る力、トライを取り切る決定力、そしてディフェンス能力も兼ね備えています」
 
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「W杯1年前のテストマッチ。善戦できないと1年後にプレッシャーがのしかかる」

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