最愛のパートナーが“皇帝”を援護射撃だ。

　爆弾発言で物議を醸しているのは、ロシア・フィギュアスケート界の重鎮であるエフゲニー・プルシェンコ氏。現地２月14日に行なわれたロシア・ジュニア選手権において、教え子であるふたりの女子スケーターに対する採点に不満をぶちまけ、そのコメントが波紋を広げている。

　40歳になった五輪金メダリストは「審判ともFFKKR（ロシア・フィギュアスケート連盟）の責任者とも話したよ。『どうしていつも私を目の敵にするんだ？』とね。いったい正義はどこにあるんだ？　連中は『採点基準が変わったんだ』などと言うが、私に言わせれば、私の選手たちが不利になるように変えているとしか思えない」と断じた。

　やはり問題視されているのは、その直後の発言だ。「こんな不当な仕打ちが続くならば、彼女たちや親たちは他の国へ移って競技を続けようとするだろう」とまさかの国籍変更を示唆し、「決めるのは彼らであって、私はその決断をバックアップするだけだ。より必要とされる環境があるならば、そこへ行くのは彼らの自由だからね」と後押した。

　さらに、ウラジーミル・プーチン大統領やスポーツ大臣の存在をほのめかすなどしたため、ロシア通信社『RIA Novosti』は、「プルシェンコがFFKKRに対して脅迫とも取れる発言をして宣戦布告した」と反応。著名な振付師であるアレクセイ・ゼレズニャコフ氏は「現在の国を取り巻く状況を考えても、なんと見苦しい発言だろうか。採点が納得いかないものだから、教え子の国籍変更を容認する？　国家に対する明らかな裏切り行為だよ」と断じた。
  　ロシア国内のメディアも一斉に懐疑的な取り上げ方をするなか、プルシェンコ氏の８つ年上で名プロデューサーとして鳴らす妻のヤナ・ルドコフスカヤさんが真っ向から反論した。

『Sport24』の取材に応じて、「エフゲニーは選手の親たちの望みを明かしただけじゃない。国籍を変えようとしているのは彼らであって、エフゲニー個人の望みではないのよ！」とメディアを糾弾し、「いいかげんな嘘を書き立てないで！」と吐き捨てた。

　プルシェンコ氏と懇意の間柄である名コーチ、タチアナ・タラソワ氏も同調する。こちらは「ジャッジに関して誰も文句を言ってはいけないの？　稀にそれを口にしたからと言って罰を与えるの？」と問いかけ、「プルシェンコは指導者となってまもなく、いろいろと分かってない部分があるし、忍耐力も乏しい。それでも彼は、オリンピック王者なの。彼の言葉と振る舞いには敬意を払うべきよ」と擁護した。

　新たに浮き彫りとなったプルシェンコ対FFKKRの構図は、今後どのような展開を見せていくのか。ロシア人スケーターたちが国際舞台から締め出されているなか、国内では“内紛”のドタバタ劇が勃発している。

構成●THE DIGEST編集部

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