世界王者が新シーズンの初戦を終えた。

　昨年、日本人初の世界選手権連覇を飾った宇野昌磨が今季のグランプリシリーズ初戦・中国大会に臨んだ。ショートは今季世界最高得点（105.25点）を叩き出す好スタートを切ったが、現地11月11日に行なわれたフリーでは冒頭の４回転ループで転倒。２つ目の４回転フリップも２回転になるミスが響き、得点は伸びず。表彰台は確保したが、合計279.98点で２位で終えた。

　優勝したのは、フランスの新鋭アダム・シャオ イム ファ。先週、地元開催だったGPシリーズで優勝した22歳は前日、宇野に次ぐ２位。フリーでは４本組み込んだ４回転ジャンプをすべて成功する圧巻のパフォーマンスを披露し、今季のフリー世界最高となる207.17点、合計298.38点で逆転優勝を果たした。

　盤石発進だったショートとは真逆の内容に終わった宇野のフリー。はたして海外メディアは、世界王者の初戦をどうジャッジしたのか。

　米国のフィギュアスケート専門記者ジャッキー・ウォン氏は、優勝は逃したが決して低調なパフォーマンスではなかったと評している。同氏は自身のX（旧ツイッター）に宇野の構成を明記したうえで、「冒頭のミスからの挽回が良かった」と指摘。４回転ジャンプを転倒する最悪のスタートから、３つ目のトリプルアクセルで見事立て直したことに着目し、「いつもは課題である後半の４T（トウループ）を２本とも成功させたのも素晴らしい」とも付け加えている。
  　海外のフィギュアスケート専門メディア『Inside Skating』は海外初披露となった新プログラムを絶賛している。

　まず同メディアは、「ショウマ・ウノは、他の選手と同じように調子が悪い日もある」と王者をフォロー。続けて、「このプログラムは絶対的な宝石だ。風通しが良く、美しく、彼の動きと呼吸、波のように押し寄せる音楽をシンクロさせる時間を与えてくれる。まるで私たちの感情のように」と賞賛。さらなるブラッシュアップに期待を寄せている。

　試合後の会見で宇野は海外メディアに対し、「ショートもフリーも両方好きなプログラムになっている。いいものが作れる期待がある」と手応えを口にしており、「（今後は）どんな練習が必要か、だんだんと明確になってきた。シーズンを通していいものができると思う」と先を見据えたプログラムの完成を強調している。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】GP２位スタートの宇野昌磨が中国メディアの質問に答える