バレーボール

12歳少女への性的暴行で服役したビーチバレー選手の五輪出場に反発の声! オランダ連盟は「選手村は出禁」「メディアと接触禁止」の特例措置も…【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.07.23

イマース(左)とのコンビで五輪本番に臨むファン・デベルデ(右)。批判の声が高まるなか、オランダ連盟は全面サポートを強調した。(C)Getty Images

 前科のあるアスリートのパリ五輪出場が物議を醸している。

 渦中の人物はオランダの男子ビーチバレー代表、スティーブン・ファン・デベルデだ。現在29歳のファン・デベルデは19歳だった2014年、フェイスブックで知り合った当時12歳の英国人少女に対して性的暴行に及んだ。未成年者に酒を飲ませたうえでの蛮行で、犯行は3度繰り返されたという。16年に英国の裁判所から禁固4年の実刑判決を受け、裁判長から「母国を代表するという君の夢は打ち砕かれたのだ」と告げられた。
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 キャリアは終焉を迎えたと思われたが、その後身柄は英国からオランダへ引き渡され、わずか1年の服役を経て釈放。するとファン・デベルデはすぐさま競技復帰を果たし、18年からは国際大会にも出場している。そして今年6月、パートナーであるマシュー・イマーズとのコンビで世界ランキング11位に浮上。パリ五輪の出場権を獲得し、オランダ代表に選出された。

 しかし、英国メディアや他国のアスリート、女性擁護団体などからは反発の声が噴出している。英放送局『Sky Sports』は「被害者に対してまるで反省しているように見えない。その欠如は恐ろしいほどだ」とする同団体の声明を紹介。オーストラリア選手団のアンナ・メアーズ団長は英公共放送『BBC』の取材に対し、「そのような前科がある選手は、私たちのチームの一員には絶対になれない。厳格な方針があるからだ」と答えている。

 IOC(国際オリンピック委員会)の広報担当者は「我々は関与しない。代表チームのメンバー選考は各国オリンピック委員会が責任を負うものだ」と発言。ファン・デベルデ自身はオランダ・バレーボール連盟を通じてコメントを発表し、「人生最大の過ちであり、取り返しがつかないことだ。報いは受け入れなければならない。世界最大のスポーツイベントを前にして、この件が大きな注目を集めることは理解している」と覚悟を明かした。

 オランダ・オリンピック委員会は「彼は釈放後ずっとカウンセリングを受けており、専門家も再犯の可能性はゼロだと断言している」と擁護し、「復帰にあたってはオランダ連盟の条件を満たしており、もちろんパリオリンピック出場の資格もクリアしている」と説明。オランダ連盟のミシェル・エベラートGMは「排除する理由はない。模範的なプロフェッショナルであり人物。我々は彼を全面的にサポートする」と話した。
 
 とはいえ、周囲が騒がしいのは事実であり、オランダ選手団への影響も危惧される。そこでオランダ連盟はファン・デベルデと話し合ったうえで、「選手村への入村禁止」と「メディアとの接触禁止」を言い渡した。目立たたないように選手団から遠ざけ、報道陣の取材にも応じさせない。連盟がとった苦肉の策ながら、これも英国メディアから「特別扱いで過保護」とさらなる非難を浴びている。

 相棒イマースが選手村に滞在するなか、パリ市内の宿泊施設で別行動を強いられることとなったファン・デベルデ。はたして逆風が吹くなか、エッフェル塔前にセットされた特設会場でどのようなパフォーマンスを披露するのか。男子ビーチバレーは現地7月27日にスタートする。

構成●THE DIGEST編集部

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