パリ五輪の開幕が目前に迫るなか、いまだ非難の的となっているアスリートがいる。男子ビーチバレーのオランダ代表選手、スティーブン・ファン・デベルデだ。
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　現在29歳のファン・デベルデは19歳だった2014年、フェイスブックで知り合った当時12歳の英国人少女に対して性的暴行に及んだ。未成年者に酒を飲ませたうえでの蛮行で、犯行は３度も繰り返されたという。

　16年に英国の裁判所から禁固４年の実刑判決を受けたが、その後身柄は英国から母国オランダへ引き渡され、量刑が変更された。なんとわずか１年の服役を経て釈放に至ったのだ。ファン・デベルデはすぐさま競技復帰を果たし、18年からは国際大会にも出場。そして今年６月、マシュー・イマーズとのコンビでパリ五輪の出場権を獲得し、晴れてオランダ代表に選出されたのである。

　しかし、英国メディアやアスリート、さらに女性擁護団体などは彼の五輪出場に対して激しく反発している。英放送局『Sky Sports』は「被害者に対してまるで反省しているように見えない。その欠如は恐ろしいほどだ」とする擁護団体の声明を紹介。オーストラリア選手団のアンナ・メアーズ団長は英公共放送『BBC』の取材に対し、「そのような前科がある選手は、私たちのチームの一員には絶対になれない。厳格な方針があるからだ」と答えている。

　そんななか、『BBC』の解説者としてパリ入りしている英国レジェンド・スターの発言が物議を醸した。2000年代に女子マラソンで一世を風靡したポーラ・ラドクリフ氏だ。

　現在50歳のオリンピアンはファン・デベルデの件について問われると、「彼は結婚して落ち着いたと聞いています。２度も罰せられるべきではない。刑務所に送られてから人生をやり直し、今回の予選を通過し、最高レベルでプレーすることに成功したのであれば、私は彼の幸運を心から祈ります」と話したのだ。

　英国を代表する人気者から飛び出したまさかのコメントに、ネット上は大炎上。ラドクリフは事の重大さを認識し、自身のＸ上で謝罪する事態となった。「言い訳できない。謝るしかありません。出場禁止という事象にのみ目が行ってしまって、頭がどうかしていました。なぜ『幸運を祈る』などと言ってしまったのか。あらためて心からお詫びします」と猛省している。
  　この騒動を受けてオランダ・オリンピック委員会は「彼は釈放後ずっとカウンセリングを受けており、専門家も再犯の可能性はゼロだと断言している」と擁護し、「復帰にあたってはオランダ・バレーボール連盟の条件を満たしており、もちろんパリオリンピック出場の資格もクリアしている」と説明。オランダ連盟のミシェル・エベラートＧＭは「排除する理由はない。模範的なプロフェッショナルであり人物。我々は彼を全面的にサポートする」と述べた。

　ファン・デベルデ自身もオランダ連盟を通じてコメントを発表し、「人生最大の過ちであり、取り返しがつかないことだ。報いは受け入れなければならない。世界最大のスポーツイベントを前にして、この件が大きな注目を集めることは理解している」と覚悟を明かしていた。

　それでも、オランダ連盟はさらなるカオスを避けるため、ファン・デベルデと話し合ったうえで、「選手村への入村禁止」と「メディアとの接触禁止」を言い渡した。大会期間中、彼ひとりだけがパリ市内の宿泊施設に滞在するという。

　注目の男子ビーチバレーは現地７月27日にスタートする予定だ。

構成●THE DIGEST編集部

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