渦中のアスリートが厳戒態勢のなかで“五輪デビュー”を飾った。
現地7月28日、エッフェル塔の特設コートで開催されたのがパリ五輪・男子ビーチバレー競技だ。最大の注目を集めたのはオランダ代表、スティーブン・ファン・デベルデとマシュー・イマーズのコンビ。ファン・デベルデはかつて英国で性犯罪を犯して服役した過去があり、それでも五輪代表に選ばれたことで大バッシングに晒されている。
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現在29歳のファン・デベルデは19歳だった2014年、フェイスブックで知り合った当時12歳の英国人少女に対して性的暴行に及んだ。未成年者に酒を飲ませたうえでの蛮行で、犯行は3度も繰り返されたという。16年に英国の裁判所から禁固4年の実刑判決を受けたが、その後身柄は英国から母国オランダへ引き渡され、量刑が変更された。なんとわずか1年の服役を経て釈放に至ったのだ。
キャリアの終焉が濃厚だったファン・デベルデはすぐさま競技復帰を果たし、18年からは国際大会にも出場。そして今年6月、イマーズとのコンビでパリ五輪の出場権を獲得し、晴れてオランダ代表に選出されたのである。
英国メディアやアスリート、さらに女性擁護団体などが彼の五輪出場に猛反発。オランダ・オリンピック委員会は「スティーブンは釈放後ずっとカウンセリングを受けており、専門家も再犯の可能性はゼロだと断言している。復帰にあたってはオランダ・バレーボール連盟の条件を満たしており、もちろんパリオリンピック出場の資格もクリアしている」との声明を発表し、。擁護したことでいっそうの非難を浴びた。
ファン・デベルデ自身は「人生最大の過ちであり、取り返しがつかないことだ。報いは受け入れなければならない。世界最大のスポーツイベントを前にして、この件が大きな注目を集めることは理解している」と覚悟を明かしていた。一方でオランダ連盟は深刻なトラブルを避けるため、ファン・デベルデと話し合ったうえで、「選手村への入村禁止」と「メディアとの接触禁止」を厳命。そして日曜日、大会の初戦を迎えたのだ。
オランダ代表コンビがコートに現われると、小さな拍手と大きなブーイングが入り乱れた。続けてファン・デベルデの名が場内アナウンスでコールされると、今度はブーイングや怒号、口笛が鳴り響いたという。世界ランキング10位のオランダ代表コンビは、同25位のイタリア代表コンビにセットカウント1-2で敗れ去った。
英公共放送『BBC』はファン・デベルデの動向に最大限の関心を寄せた。「29歳のオランダ人に対しては、代表追放を嘆願するオンラインでの反対署名が9万人にも達していた。それでもオランダ側に意思は伝わらなかったようだ」と不快感を示し、「相棒イマーズは試合後、『過去の出来事でここまで批判的なムードになったことに驚いている。彼(ファン・デベルデ)が代表でプレーするのは正しい権利だと思う』と私見を述べた。ファン・デベルデはコメントを禁じられているので言葉を残していない」と伝えている。
『BBC』のローラ・スコット記者は「会場は大ブーイングに包まれたが、ファン・デベルデはそんな外部の喧噪を気にする素振りがいっさいなく、淡々とプレーに集中していた」と記し、「私は会場で何人かのファンを呼び止めて意見を求めた。ドイツ、英国、アイルランドのファンは彼がここにいるべきではないと強い口調で話していたが、オランダのファンはみんな、この話題について話したがらないか、ファン・デベルデを支持していたのが驚きだった」とレポートしている。
次戦は現地31日、チリ代表コンビとの対戦となる。ふたたび会場はブーイングに満たされるのか。一大騒動の余波はまだまだ続きそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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現地7月28日、エッフェル塔の特設コートで開催されたのがパリ五輪・男子ビーチバレー競技だ。最大の注目を集めたのはオランダ代表、スティーブン・ファン・デベルデとマシュー・イマーズのコンビ。ファン・デベルデはかつて英国で性犯罪を犯して服役した過去があり、それでも五輪代表に選ばれたことで大バッシングに晒されている。
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現在29歳のファン・デベルデは19歳だった2014年、フェイスブックで知り合った当時12歳の英国人少女に対して性的暴行に及んだ。未成年者に酒を飲ませたうえでの蛮行で、犯行は3度も繰り返されたという。16年に英国の裁判所から禁固4年の実刑判決を受けたが、その後身柄は英国から母国オランダへ引き渡され、量刑が変更された。なんとわずか1年の服役を経て釈放に至ったのだ。
キャリアの終焉が濃厚だったファン・デベルデはすぐさま競技復帰を果たし、18年からは国際大会にも出場。そして今年6月、イマーズとのコンビでパリ五輪の出場権を獲得し、晴れてオランダ代表に選出されたのである。
英国メディアやアスリート、さらに女性擁護団体などが彼の五輪出場に猛反発。オランダ・オリンピック委員会は「スティーブンは釈放後ずっとカウンセリングを受けており、専門家も再犯の可能性はゼロだと断言している。復帰にあたってはオランダ・バレーボール連盟の条件を満たしており、もちろんパリオリンピック出場の資格もクリアしている」との声明を発表し、。擁護したことでいっそうの非難を浴びた。
ファン・デベルデ自身は「人生最大の過ちであり、取り返しがつかないことだ。報いは受け入れなければならない。世界最大のスポーツイベントを前にして、この件が大きな注目を集めることは理解している」と覚悟を明かしていた。一方でオランダ連盟は深刻なトラブルを避けるため、ファン・デベルデと話し合ったうえで、「選手村への入村禁止」と「メディアとの接触禁止」を厳命。そして日曜日、大会の初戦を迎えたのだ。
オランダ代表コンビがコートに現われると、小さな拍手と大きなブーイングが入り乱れた。続けてファン・デベルデの名が場内アナウンスでコールされると、今度はブーイングや怒号、口笛が鳴り響いたという。世界ランキング10位のオランダ代表コンビは、同25位のイタリア代表コンビにセットカウント1-2で敗れ去った。
英公共放送『BBC』はファン・デベルデの動向に最大限の関心を寄せた。「29歳のオランダ人に対しては、代表追放を嘆願するオンラインでの反対署名が9万人にも達していた。それでもオランダ側に意思は伝わらなかったようだ」と不快感を示し、「相棒イマーズは試合後、『過去の出来事でここまで批判的なムードになったことに驚いている。彼(ファン・デベルデ)が代表でプレーするのは正しい権利だと思う』と私見を述べた。ファン・デベルデはコメントを禁じられているので言葉を残していない」と伝えている。
『BBC』のローラ・スコット記者は「会場は大ブーイングに包まれたが、ファン・デベルデはそんな外部の喧噪を気にする素振りがいっさいなく、淡々とプレーに集中していた」と記し、「私は会場で何人かのファンを呼び止めて意見を求めた。ドイツ、英国、アイルランドのファンは彼がここにいるべきではないと強い口調で話していたが、オランダのファンはみんな、この話題について話したがらないか、ファン・デベルデを支持していたのが驚きだった」とレポートしている。
次戦は現地31日、チリ代表コンビとの対戦となる。ふたたび会場はブーイングに満たされるのか。一大騒動の余波はまだまだ続きそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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