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「応援いただく皆さまへ」誹謗中傷問題でJOCが異例のメッセージ「心を痛め不安や恐怖を感じることもある」【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.08.02

JOCが異例のメッセージを掲出した。(C)Getty Images

 パリ五輪に出場している選手に誹謗中傷が相次いでいる問題で、JOC(日本オリンピック委員会)が異例のメッセージをホームページに掲載した。

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 柔道女子52キロ級の2回戦で敗れて試合後に号泣した阿部詩に対し、健闘を称える声とともに批判的な意見が挙がった。柔道男子60キロ級の準々決勝で、「待て」がかかった後も永山竜樹への締め技を止めなかったフランシスコ・ガリゴス(スペイン)に誹謗中傷が殺到。永山本人はガリゴスから謝罪を受けて和解を報告したが、その後もガリゴスのSNSには批判の書き込みが続いている。

 JOCは、「競技に臨むアスリートが置かれている状況をご理解いただき、SNSでの誹謗中傷からアスリートの心身の状態を守るとともに、より多くの方にスポーツの価値をご理解いただき、応援いただきたいという思いから掲出するものです」とメッセージ掲出の意図を説明。「TEAM JAPANからのメッセージ」として次のような文言を書き記した。
 
 いつもTEAM JAPANを応援いただき、誠にありがとうございます。応援いただく皆さまへ改めてSNS等の投稿に関してお願いがあります。

 アスリートは4年に一度開かれるオリンピックに向けて、自分自身のため、そして支えてくださる多くの方のため、人知れず努力を重ねてきました。

 どのアスリートも、一瞬一瞬を無駄にせず、緊張の中で、自身が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、調整して大会に臨んでいます。

 中には、試合前にコンディションを見極めて厳しい選択をせざるを得ないこともあります。どれだけ準備を重ねても、試合では予期せぬこともたくさんあります。

 そのすべてを受け入れて、自分にできる最高のパフォーマンスを発揮すべく、アスリートはその場に立っています。

 応援いただく皆さまに、是非アスリートがこれまで歩んできた道のりにも思いをはせ、その瞬間を見守り、応援いただけますと幸いです。

 オリンピックに臨むアスリートは、相手をリスペクトしています。

 体操競技では、自身の演技が終わった後、ライバルが演技を開始するにあたり、口に指をあてて、観客に静かにするよう求める選手がいました。

 柔道では、試合の時には納得がいかないことがあっても、競技後に互いの健闘をたたえ合う選手がいました。

 スポーツで自身の競技力を高めるには、競い合う相手が必要です。対戦相手は、戦う相手であるとともに、ともに高め合う仲間でもあります。

 そのリスペクトこそが、自身の競技力を高め、スポーツの価値をより高めるものと信じています。

 SNS等を通じた皆さまからの激励・応援メッセージは、アスリート、監督・コーチへの大きな力となっています。その一方で、心ない誹謗中傷、批判等に心を痛めるとともに不安や恐怖を感じることもあります。

 TEAM JAPANを応援いただく皆さまには、誹謗中傷などを拡散することなく、SNS等での投稿に際しては、マナーを守っていただきますよう改めてお願い申し上げます。

 なお、侮辱、脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討いたします。

 皆さまのご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

構成●THE DIGEST編集部

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