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「寝心地悪い」「本当にひどかった」選手村の段ボールベッドに賛否止まず。海外競泳選手は安眠のため、”補強材を自費購入”と暴露も【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.08.18

パリ五輪で採用された段ボールベッド。(C)Getty Images

 パリで100年ぶりに開催された夏季オリンピック。多くの話題を提供した夏の祭典は閉幕後も、選手村に設置された施設への不平不満が尽きない。

 米アリゾナ州で最大の発行部数を誇る日刊紙『The Arizona Republic』はパリ五輪で再び大きな脚光を浴びた段ボールベッドについて、母国に帰国したアスリートたちから「寝心地が悪い」との不満が噴出していると報じた。

 例えば、ドミニカ代表として競泳競技に参加した18歳のジャスミン・スコフィールドによると、ベッドをより快適にするために補強材を自費で購入した選手がいたことを暴露している。「選手村にマットレスみたいなのがあるから、それを買った人もいるわ。でも、わざわざ部屋まで持って帰るのは面倒なので我慢しています」と述べ、「本当にひどかったわ」と苛立ちを隠せなかった。

 一方、同じく競泳でジャマイカ代表のジョシュ・キルルーは「ベッドはベッドだ」と苦笑しながら、「別の大会で、床に寝たことがあったから文句は言えないよ」と語り、アゼルバイジャン代表のマリアム・シェイクハリザデハンガーは「寝ることは問題ないよ」と明かすなど、選手によっては対応できている選手も少なからずいたようだ。
 
 同メディアは「オリンピック関係者は、大会のテーマである環境に優しい取り組みに従うため、施設内にエアコンを設置しない計画を当初から明らかにしていた。だがマットレスが硬いことに加え、選手たちは選手村にエアコンがないことは明らかな失望を表明していた」と言及。招致時から「史上最も環境に優しい大会」を標榜していた大会組織委員会の考えがアスリート側に負担を強いたと痛烈に指摘している。

 日本を含め、一部の参加国では独自に選手たちにポータブルエアコンを急きょ提供する対策が講じられたが、エアコンを持っていない選手の中には競技の不振に直接つながった選手もいる。競泳のイタリア代表で100メートル背泳ぎ金メダリストのトマス・チェッコンは「昼も夜も眠れないんだ。ここでは、暑さと騒音で本当に苦労している」と母国メディアに告白。背泳ぎ2冠を狙った200メートル決勝は「疲労」を理由に欠場していた。

 最後に同メディアは「選手たちがオリンピック村を去った後、1万4250個の段ボールベッドはリサイクルされ、選手村はパラリンピックのため再利用される。アスリートたちからのさまざまな評価にもかかわらず、パリオリンピック委員会は段ボールベッドとエアコンがないことによる持続可能性と環境への好影響を強調している」と記し、今月28日から開幕するパラリンピックでも同じような問題が浮き彫りになるのではと危惧している。

構成●THE DIGEST編集部

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