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バレーボール

パリ五輪で母国を初のバレーボール金メダルに導いた伊エースの壁画が破壊。黒肌がピンクに塗られる”人種差別”を市長が非難「卑劣で恥ずべき侮辱」

THE DIGEST編集部

2024.08.23

女子バレーボールでイタリアを初の金メダルに導いたエゴヌ。(C)Getty Images

女子バレーボールでイタリアを初の金メダルに導いたエゴヌ。(C)Getty Images

 パリ五輪の女子バレーボールで初めて金メダルに輝いたイタリア。悲願の戴冠を果たしたアッズーリだが、チームの顔である25歳のエースを巡り見過ごせない問題が浮き彫りとなっている。

 欧州のニュース専門放送局『euronews.』を母体とするニュース配信サイト『africanews.』によると、イタリア代表のエースで大会最優秀選手(MVP)に選ばれたパオラ・エゴヌの活躍を祝したフレスコ画が何者かによって破壊された。イタリアの複数メディアにもSNS上で落書きされた画像が拡散されている。

 ナイジェリア出身の両親のもとイタリアで生まれたエゴヌは、エースアタッカーとして母国をけん引している。パリ五輪の前哨戦として位置付けられたバレーボール最強国決定戦「ネーションズリーグ」では決勝で日本と対戦。最高到達点344cmという規格外の打点の高さを誇る強烈スパイクを連発して27得点をマーク。圧倒的な攻撃力で日本を粉砕し、大会MVPとベストオポジット賞を獲得した。エゴヌは勢いそのまま、五輪本番でもチームを引っ張りファイナルに進出。金メダル候補のアメリカを下し、母国を初の五輪チャンピオンに導いた。
 
 大会終了後、イタリアのストリートアーティストであるライカ氏は、ローマにあるイタリア・オリンピック委員会本部に彼女の活躍を称えて、壁画に一枚の絵を描いた。「イタリアらしさ」と題されたこの作品は長い髪を特徴的なポニーテールにし、アッズーリの青いユニホームを着たエゴヌがボールを打っている様子を描いたもので、そこには「人種差別、憎しみ、外国人排斥を止めよう」という言葉が刻まれていた。これはエゴヌがイタリアで黒人アスリートとして受けた長年にわたる人種差別、心無い誹謗中傷に晒されてきた意味を含めたメッセージ性の強い作品だった。

 ところが五輪閉幕後、作品に異変が生じた。エゴヌの黒い肌はピンクに塗られ、ボールに書かれた人種差別反対のメッセージはかき消されるように歪められた。ローマ市長のロベルト・グアルティエリ氏は、蛮行たるこの破壊行為をエゴヌとライカに対する「卑劣で恥ずべき侮辱」と強く非難する声明を発表。「2024年になってもなお、歴史の針を戻そうとする無知に囚われた人種差別主義者がいることは本当に悲しい」と述べ、肩を震わせた。

 後日、ライカ氏はソーシャルネットワーク上の声明のなかで「人種差別は打ち負かさなければならない社会的な悪だ。スポーツを通じて、これを行なうことは非常に重要だ」と書き記し、その胸中を発信している。

構成●THE DIGEST編集部

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