競馬

すべては凱旋門賞を獲るため――。「世界の矢作」が自信を持って送り込むシンエンペラーは日本競馬史を塗り替えるか

三好達彦

2024.10.04

今年の凱旋門賞に挑むシンエンペラー。日本馬初の戴冠なるか。写真:産経新聞社

 秋の欧州競馬を締め括る中長距離チャンピオン決定戦、凱旋門賞(10月6日/G1、ロンシャン・芝2400m)が迫ってきた。今年は日本からシンエンペラー(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)が単騎参戦。また、武豊騎手がアイルランド調教馬のアルリファー(牡4歳/J.オブライエン厩舎)の手綱をとって出場する。

 そこで本稿では、この2頭を中心に、秋の大一番の見どころをご紹介する。最初に取り上げるのは、日本馬悲願の制覇へ臨むシンエンペラーだ。

 シンエンペラーは、父シユーニ(Siyouni)、母スターレッツシスター(Starlet's Sister)、母の父ガリレオ(Galileo)という血統で、2020年の凱旋門賞を制したソットサス(Sottsass)の全弟にあたる超良血馬だ。フランスで生産され、2022年に行なわれた仏アルカナ社のオーガスト・イヤリング・セール(秋の1歳馬市場)にて、藤田晋オーナーの命を受けた代理人の矢作芳人調教師が210万ユーロ(当時のレートで約3億円弱)で落札。まさに"凱旋門賞を獲るため"の、攻めの購買だった。
 
 輸入後、ノーザンファーム早来で育成・調教を受けたシンエンペラーは昨年11月の新馬戦(東京・芝1800m)でデビュー。ここを楽勝すると、続くラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ、京都・芝2000m)も素晴らしい末脚を見せて快勝した。

 その後はホープフルステークス(GⅠ、2着)、弥生賞(GⅡ、2着)、皐月賞(GⅠ、5着)、日本ダービー(GⅠ、3着)と勝ち鞍には恵まれていないが、クラシック戦線を堂々と走り抜いた。
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