TOYOTA GAZOO RACING（TGR）は10月11日、F1チームのハースと業務提携を行なうと発表した。リリースの中ではトヨタ自動車の代表取締役会長、豊田章男氏の“レーシングドライバー”を思う気持ちが垣間見えた。

【画像】世界を舞台に活躍する日本人F１ドライバー、角田裕毅のオフの表情を大特集！ 　世界耐久選手権（WEC）や世界ラリー選手権（WRC）をはじめ、SUPER GT、SUPER FORMURAなど国内外でモータースポーツへの参戦を続けているTGR。F1には2002年からトヨタとして参戦を続けていたが2009年を最後に退いていた。

　今回の提携ではTGRのドライバーやエンジニア、メカニックがハースのテスト走行に参加することなどが予定されており、“人材育成”に重点が置かれている。そして、背景にはこれまでトヨタが育成ドライバーを「世界一速いクルマ」に乗せられずにいた豊田会長の悔いがあったという。同氏からは以下のコメントが出された。

「（国内トップカテゴリーの）スーパーフォーミュラのドライバーたちはトヨタ勢もホンダ勢も、みんな子供の頃からカートに乗って育ってきました。彼ら彼女らに憧れてカートに乗っている子供たちも全国にたくさんいると思います。そんな子供たちを小松さんたちと一緒にもっと増やしていければと思っております」

「その前に、スーパーフォーミュラドライバーの誰かが、世界一速いクルマに乗る日も、実現していきたいとも思っております。小松さん（ハースチーム代表）MoneyGram Haas F1 Teamの皆さん、日本のモータースポーツ界のために、ぜひ一緒によろしくお願いいたします」

　現在F1にはホンダの支援を受け、４年目のシーズンを送っている角田裕毅（RB）が日本人で唯一参戦中。TGRからは平川亮がマクラーレンのリザーブドライバーとして活動している。ハースとRBはともに中団勢ということもありレース中にはライバルとして度々火花を散らす関係だ。「F1の舞台で日本人同士のバトル」という今となっては夢のような光景も見られるかもしれない。

　トヨタ自動車社長として決断したF1撤退は間違っていなかったとしつつ、車好きの“モリゾウ”としての後悔を語った豊田会長。その思いが未来の日本人F1ドライバー、エンジニア、メカニックを生み出していくことになるかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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