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「携帯恐怖症になった」井上尚弥のKO快勝劇で幕を閉じた裏で、大橋会長がトラブル続きの興行舞台裏を告白「インフルエンザが猛威を振るっていたので…」

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.01.26

大橋会長は井上の防衛戦を終えると疲労感をにじませた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦が1月24日に東京・有明アリーナで開催され、王者の井上尚弥がWBO同級11位のキム・イェジュン(韓国)の挑戦を退け、右ストレートで4回2分25秒でKO勝利を収めた。3度目の王座防衛に成功し、通算戦績は29戦29勝(26KO)にまで伸ばし、海外でのビッグマッチに向けて弾みをつける2025年初戦の快勝劇となった。
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 1か月の試合延期、決戦13日前に対戦相手変更とトラブル続きだった興行を終えた井上は「疲れました。肉体的ではなく精神的に正直きつかった。無事に勝つことができ、肩の荷が下りて、どっと疲れがきました」と本音を漏らし、紆余曲折を経て開催できた試合を振り返った。

 井上だけではない。所属ジムの大橋秀行会長も疲労感を漂わせた。試合後の会見で同会長は、「本当に疲れた。長い1カ月でした。携帯が鳴ると(トラブルかと)恐怖症になってしまって...それだけ大変な、長い月日だった」と振り返った。

 さらに大橋会長は「インフルエンザが猛威を振るっている。選手が感染した場合も想定して」と話し、2週間後となる2月6日にも有明アリーナを押さえて再延期を想定する準備を整えていたことを明かした。これは昨年の大晦日に井岡一翔の対戦相手が、来日後にインフルエンザに感染し、試合直前で中止になったことを教訓にしたと説明した。
 
 他にも、挑戦者であるキム・イェジュンの体重超過や体調不良を想定し、リザーブの世界ランカーまで用意する周到さだった。ただ、そのリザーブ選手が減量を理由に最終的には来日できなかったプチトラブルを最後に補足した。

 チームの総合力でジェットコースターのような事態を乗り切った大橋会長は、「自分もですけど、井上尚弥も本当にこの経験はなかなかできることではない。一皮むけたモンスターになっていくのではないかと思う。とてつもなく大きな試合になりました」と統括。モンスターの進化を称えた。

 異例の興行を終えた井上陣営は試合から一夜明けた25日、神奈川・横浜市内の所属ジムで恒例の会見を開き、その席で大橋会長は「おそらく次は米国・ラスベガス、その次はサウジアラビア」とあらためて今後の展望を説明。聖地ではWBC1位&WBO8位のアラン・ピカソ(メキシコ)、サウジは現WBA暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と対戦する大型興行を明言した。

 日本が誇るモンスターが、いよいよ海外に再進出する。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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