4月17日から開幕したフィギュアスケートの世界国別対抗戦は米国が2大会連続6度目の優勝で幕を閉じた。なかでもチームをけん引したのは、3月末の世界選手権で2連覇を果たした20歳のイリア・マリニンだ。人類で唯一6種類の4回転ジャンプを跳ぶ"4回転の神"は10か月後に迫ったミラノ・コルティナ五輪に向けて、興味深い野望を口にした。
18日の男子フリー、マリニンは最終滑走で登場した。唯一無二の大技である4回転アクセルは封印したが、それでも5本の4回転を組み込む異次元構成で臨んだ。前半4つ目のサルコウが2回転になったり、高難度の4回転ルッツが回転不足になるなど疲労によるミスが目についたが、それでも世界王者たる高いパフォーマンスで周囲をねじ伏せた。日本男子のエース鍵山優真が「イリア選手は調子が悪くても最低限やることはできている」と評すほど、現時点では最も五輪の金メダルに近い存在だといえる。
競技後、会場で販売されている自身の限定サイン入りロングTシャツを着て取材ゾーンに現れた世界王者は「とても楽しかった」と話し、「国別対抗戦に参加できたこと、そしてチームメイトやみんなに応援してもらって、この雰囲気で戦えたことは本当に素晴らしい経験だった。エネルギーが尽きないよ」と充実した表情で振り返った。
プレ五輪シーズンがついに終わり、来季はいよいよ勝負のシーズンとなる。「正直に言って、まだ気持ちが整理できていないんだ。でも、これからオリンピックに向けて戦略を立てる時間も取れるし、数週間はクールダウンして、スケートを少し休んで気持ちを落ち着かせようと思う。スケートボードなど、他に好きなことをしたりしようかな」と、まずはしっかり体と心を休ませることを明かしてくれた。
今季はグランプリファイナル、世界選手権ともに連覇を達成。主要国際試合では23年のグランプリシリーズ・フランス大会(2位)以来、負け知らずだ。「今シーズンは、これまでで最高のシーズンのひとつだと感じている。自分自身の進歩や変化にとても満足しているし、シーズンを通してのフィードバックを得るのが本当に楽しみなんだ。この経験を来シーズンに活かして、オリンピックに向けてさらに成長し、集中力を高め、自信を深めていきたい」と力強く語る。
さらに「具体的な目標を考えるのはまだ早いかもしれないけど...」と前置きしながら、「オリンピックで実行したいプランを考えているよ。シーズンを着実にかつ効果的に過ごし、オリンピック前にしっかりとトレーニングを積めるようにしたいと思っている」と話し、明言は避けたが勝負のシーズンに向けた秘策を示唆した。
最後に、「カンジ」と着ているTシャツを指差し茶目っ気にアピール。「読み方は知らない」と話す『壱陸弐零』という4文字は4回転アクセルのことを意味しており、お気に入りの一枚だ(360度×4.5=1620度。壱=1 陸=6 弐=2 零=0)。
インスタグラムのアカウント名を「Quad God(4回転の神)」にするほど、4回転ジャンプに強い拘りを持つ若き王者は来るべき夢舞台で、誰も成し遂げていないハイパフォーマンスを見据えている。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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18日の男子フリー、マリニンは最終滑走で登場した。唯一無二の大技である4回転アクセルは封印したが、それでも5本の4回転を組み込む異次元構成で臨んだ。前半4つ目のサルコウが2回転になったり、高難度の4回転ルッツが回転不足になるなど疲労によるミスが目についたが、それでも世界王者たる高いパフォーマンスで周囲をねじ伏せた。日本男子のエース鍵山優真が「イリア選手は調子が悪くても最低限やることはできている」と評すほど、現時点では最も五輪の金メダルに近い存在だといえる。
競技後、会場で販売されている自身の限定サイン入りロングTシャツを着て取材ゾーンに現れた世界王者は「とても楽しかった」と話し、「国別対抗戦に参加できたこと、そしてチームメイトやみんなに応援してもらって、この雰囲気で戦えたことは本当に素晴らしい経験だった。エネルギーが尽きないよ」と充実した表情で振り返った。
プレ五輪シーズンがついに終わり、来季はいよいよ勝負のシーズンとなる。「正直に言って、まだ気持ちが整理できていないんだ。でも、これからオリンピックに向けて戦略を立てる時間も取れるし、数週間はクールダウンして、スケートを少し休んで気持ちを落ち着かせようと思う。スケートボードなど、他に好きなことをしたりしようかな」と、まずはしっかり体と心を休ませることを明かしてくれた。
今季はグランプリファイナル、世界選手権ともに連覇を達成。主要国際試合では23年のグランプリシリーズ・フランス大会(2位)以来、負け知らずだ。「今シーズンは、これまでで最高のシーズンのひとつだと感じている。自分自身の進歩や変化にとても満足しているし、シーズンを通してのフィードバックを得るのが本当に楽しみなんだ。この経験を来シーズンに活かして、オリンピックに向けてさらに成長し、集中力を高め、自信を深めていきたい」と力強く語る。
さらに「具体的な目標を考えるのはまだ早いかもしれないけど...」と前置きしながら、「オリンピックで実行したいプランを考えているよ。シーズンを着実にかつ効果的に過ごし、オリンピック前にしっかりとトレーニングを積めるようにしたいと思っている」と話し、明言は避けたが勝負のシーズンに向けた秘策を示唆した。
最後に、「カンジ」と着ているTシャツを指差し茶目っ気にアピール。「読み方は知らない」と話す『壱陸弐零』という4文字は4回転アクセルのことを意味しており、お気に入りの一枚だ(360度×4.5=1620度。壱=1 陸=6 弐=2 零=0)。
インスタグラムのアカウント名を「Quad God(4回転の神)」にするほど、4回転ジャンプに強い拘りを持つ若き王者は来るべき夢舞台で、誰も成し遂げていないハイパフォーマンスを見据えている。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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