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ラグビー

「絶対に勝てる自信もあった」日本代表、強豪フィジー相手に見せた超速ラグビーの進化 27-33で惜敗も…悔しさ滲む敗戦に手応え

向風見也

2025.09.23

 問題点を浮き彫りにして、つぶしてゆく作業を重ねた。

 8月30日に仙台でカナダ代表を57―15で、敵地のサクラメントでアメリカ代表を47―21で下してプールフェーズを首位通過するなか、守る時に所定の位置より前でプレーするオフサイドのペナルティーがかさんでいた。

 スクラムハーフの福田健太曰く、ゲームを終えるごとに平時より「半歩下がる」の意識を共有。実力者とのトーナメント戦では、改善傾向が見られた。最後の2戦は反則数をひと桁に抑えた。
 
 守りといえば、決勝戦ではトライラインの手前での粘りが冴えた。これも、バトルしながら伸びた証だった。準決勝までは、むしろこのエリアであっさりスコアされることも多かったのだ。プロップとして好走連発の竹内柊平は、こう誓っていた。

「自分も含めゴール前でもっとハングリーにならなきゃいけない。相手よりハードワークして、相手の集中が切れるまでフィジカリティで止めていく。それが決勝戦でのポイントになる」

 現体制の『超速ラグビー』というコンセプトを支えるハイテンポな連続攻撃へも、彩り、抑揚をつけられた。

 一定方向へ一気呵成に走り込む基本形のほか、狭いエリアで左右にフェーズを重ねるピストンと呼ばれる動きを導入。もともとキックと、それを追う動きも整備しつつあったため、デンバーで14日にあった準決勝では、トンガ代表のせり上がるタックラーの背後へ鋭い弾道を通し続けた。好位置での攻めがしやすくなり、62―24で快勝した。

 スタンドオフの李承信は、集団としての結束力に手応えを掴んだ。

「プランが明確になっている。自分たちの強みが何で、何がジャパンラグビーなのかを理解した選手が増えている」

 ゴールキックの成功率や巧みなパスが冴えた李、23歳にして共同主将を任されロックとして高低の激しいタックル、ビッグゲインを披露したワーナー・ディアンズら、フィールド内の軸も定まってきた。

 一方でアタックし続けるための接点のサポート、列強国が身長差を活かす高い弾道のキックの競り合いといった検討事案もある。

 フランス大会組でウイングの長田智希は、フィジー代表とぶつかった直後にこう述べた。

「どの相手にも自分たちの求める『超速ラグビー』にチャレンジする。通用する部分が見えたのは収穫です。勝てなかったのは悔しいですし、そこを求めないといけないですけど、(実力者に)あと一歩のところまで行けた。これくらいの差をどの試合でも継続することが、僕たちの成長に繋がる。課題はたくさんある。そこを次の試合までに修正していけたら」

 10月以降はオーストラリア代表、南アフリカ代表などより強大な相手との国内外でのキャンペーンをにらむ。

 昨秋は1勝4敗と失意に苛まれている。リーチら名手も揃えて臨む今度の季節は、ジョーンズ体制の現時点での真価が問われる。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

【動画】後半に猛追を見せた日本、PNC決勝フィジー戦ハイライト
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