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格闘技・プロレス

プロレスとは闘う姿を人に見せるもの――「病気を隠すべきか」葛藤した女子レスラー それでも公表を決断した理由

橋本宗洋

2026.07.31

試合では男子選手とも闘う。「男子と闘う姿を見て何かを感じてほしい」と言う。写真:橋本宗洋

試合では男子選手とも闘う。「男子と闘う姿を見て何かを感じてほしい」と言う。写真:橋本宗洋

 初めて入院した婦人科は、まなせ曰く「病院の中で唯一、命が生まれる場所」だった。赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、それで気持ちが前向きになる部分もあった。Netflixを見て本を読んで、隣のベッドのおばあちゃんが聴いているTBSラジオの音漏れも楽しんだ。

 手術は無事に終わり、術後の検査で腫瘍が良性だったことも分かった。再手術の必要がないことで本当にホッとしたという。

「手術の後はとにかく動きたくて、歩いていいとなったら手術の跡から血が滲んじゃうくらい歩いちゃって。お医者さんに『プロレスラーだから頑張れちゃうんですねぇ』って言われました。結局、予定より3日早く退院しましたね」
 

 ただ復帰に関しては、まだ完全に白紙の状態だ。

「笑ってお腹に力が入るのもよくないというところからなので。動けるようになって、そこから体力を戻してとなると、どれくらい時間がかかるか分からないんですよ。考えたのは、不完全な状態では復帰したくないなということ。自分の動きだけじゃなくて、受けられない技があるのも嫌なので。
 プロレスは相手の技を受けるもの。私に受けられない技があったら、相手は全力が出せないじゃないですか。特に若い選手には全力を出してほしい。そうさせてあげるのがキャリアのあるレスラーの仕事だと思うので」

 病気による欠場で、自身のプロレス観も見えてきたのだ。婦人科系の病気についてはまだまだ知識、理解が行き渡っていないが、だからこそ公表した意味もある。まなせは毎年SNSで「国際女性デー」(3月8日)に言及するなど、プロレス界においても自分が女性であることに意識的だ。“闘うのに男も女も関係ない”という考え方もあるが、まなせは女性として闘うというスタンス。その上で男子とのタイトルマッチも経験している。

「私も以前はガンバレ☆プロレスの女子部門が“ガンジョ”って呼ばれるのが嫌だったんですよ。なんで女子は別枠にされちゃうんだろうって。でも考えてみたら、私はやっぱり女だなって。男性とは体が違うし、今回みたいに女性だからなってしまう病気もある。
 でも、女だから闘わないってことじゃない。男子選手と闘っても勝てるわけないって言われますけど、それはそうですよ。だからって闘わないのは嫌なんです。プロレスラーは闘うだけじゃなくて、闘う姿を人に見せるもの。自分が男子と闘う姿を見て、何かを感じてほしいんです。プロレスラーが“どうせ勝てないから闘わない”ってなったら、一般の人はどうなるんだって。職場で偉い人には何も言えないの? 大げさに言うと、そうじゃなくするためにプロレスがあるんだと思うんですよ」

 プロレスは表現する仕事、伝える仕事だ。技を綺麗に出す、ミスをしないというだけではない。まなせはガンプロとその系列のイベントでそれを学んだ。今回のように病気を公 表して欠場することすらメッセージになる。試合には出なくとも、彼女は“女子プロレスラーとしての闘い”に挑んでいるのだ。

取材・文●橋本宗洋

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