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ゴルフ

高3でイップスを経験した淺井咲希。ライバルにも助言を求める「ゴルフへの執念」は同世代でも群を抜く【黄金世代の歩み】

山西英希

2020.06.07

 2位以下に2打差で迎え打最終18番パー5。3打目をグリーン右手前に外したが、そこからピンそば50センチに寄せる。2パットでも優勝なだけに、グリーン周りまで応援に来ていた勝みなみ、大里桃子、高橋彩華らも笑顔で見守っていた。ところが、ファーストパットがカップに蹴られ、2メートルもオーバーしたのだ。唖然とする淺井に、表情が固まる勝。返しのパットを何とか沈めて事なきを得たが、緊張したときのパットに対する不安が残ったのは言うまでもない。

 その2週後、淺井はゴルフ5レディスでも優勝争いに絡んだ。今度は最終18番で2メートルのバーディパットを沈めればプレーオフという場面だ。ゆっくりとしたストロークで放たれたボールはカップに向かって転がっていったが、カップの縁で止まってしまう。「いつものようにスーッと手が出ませんでした。大事な場面でショートしているようじゃダメですね」と、反省しきりだった。
 
 それでも、ホールアウト後、同組でラウンドした申ジエのところへ行き、外したパットについて質問したと言う。「クロウグリップは右手に力を入れないため、私のパットのように転がらないことがあると教えてくれました。でも、しっかりとラインに乗せたことは素晴しいとほめていただきました」と淺井。ライバルである他の選手にアドバイスをするジエも立派だが、悔しいだけで終わらせず、反省点を今後に生かそうとする淺井の積極性も素晴らしい。

「昨年は優勝者の中で最も低い賞金ランキング33位でした。今季はトップテンに入る回数を増やし、早めに2勝目を挙げられるように頑張ります」

 シード選手の中では最も低い151センチの淺井。それをカバーするのはゴルフに対する執念と同世代の選手から受ける刺激にある。自粛中は思うような練習をできなかったところもあるが、昨年得た経験と自信は必ずやプラスに働くだろう。

取材・文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

【PHOTO】渋野日向子、原英莉花、淺井咲希…日本女子ゴルフが誇る"黄金世代"を厳選フォトで一挙紹介!

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