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ゴルフ

小祝さくらが勝負どころで見せた“迷いなき姿勢”。その強さの秘密はどこにあるのか?

山西英希

2021.03.22

 前日よりもティグラウンドが30ヤードほど前に出ていたため、277ヤードの距離表示となっていた15番パー4。

 右サイドには池が広がっており、少しでも右に曲がればペナルティの確率が高い。そうかといってグリーン左手前にはバンカーがあるため、簡単にワンオンを狙うわけにはいかない。どの選手もティショットを刻み、ショートアイアンで確実にピンを狙う作戦に出ていた。

 ところが、小祝は果敢にドライバーを手にしたのだ。

「首位に3人並んでいたので、ここでバーディをとらなければ優勝は難しいと思ったんです。左のバンカーが気になりましたが、風が左から吹いていたのでピンの左を狙えばいいかなと思い、ドライバーで打とうと決めました」
 
 バンカーまでは220~30ヤード、ピンまでは240~50ヤード。確かにワンオンできる状況とはいえ、1つ間違えれば優勝争いから脱落する。それでも小祝に迷いはない。

 しかし、滑らかなスイングから繰り出されたボールはまさかの右サイドへ。一瞬、池ポチャかと小祝自身も思ったが、ボールは池の手前で踏み止まる。「どういう跳ね方をしたのか分かりませんが、ボールが池の近くギリギリのところにあったので、ラッキーだと思いました」と小祝。結局、ピンまで20ヤードの第2打を1メートルにつけてバーディ。ついに単独首位に立った。

 もしもボールを打つときに少しでも迷いがあったら、違う結果になっていたかもしれない。一度決めたら、そのショットに集中できる強さが小祝の持ち味だろう。

 続く16番パー5でもバーディを奪い、そのまま逃げ切った小祝には、ゴルフの安定感に勝負強さが加わっている。今年のオフには、2つの目標をあっさりとクリアしているに違いない。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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