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スポーツ指導者はZ世代の選手とどう向き合うべきか――各競技の専門家が語ったアプローチ方法とは?

THE DIGEST編集部

2022.08.05

浦和コミュニティセンターでのトークイベントに参加したパネラーと関係者の皆さん。前列左から主催者(株)iniasuの國正光・代表、一般社団法人フィールド・フローの柘植陽一郎・代表、中野吉之伴氏、一般社団法人日本スポーツコーチング協会の稲田仁・理事

浦和コミュニティセンターでのトークイベントに参加したパネラーと関係者の皆さん。前列左から主催者(株)iniasuの國正光・代表、一般社団法人フィールド・フローの柘植陽一郎・代表、中野吉之伴氏、一般社団法人日本スポーツコーチング協会の稲田仁・理事

 続くテーマは、「Z世代に合わせたチームの作り方」。Z世代には、「不安と警戒心の盾を持ち」ながら、「世の中に貢献したい意識が強い」という特徴があるそうだが、こうした世代をいかにしてフローな状態に導くかについて議論された。

 中野氏は「今の若い世代の選手たちは、サッカー以外にも興味の対象がたくさんある」、「デジタルで育った世代と自分たちの世代とではコミュニケーションの手段が違う」ことを理解するのが大前提とした上で、表情から感情を読み取るといった非言語コミュニケーションの大切さを説く。
 
 一方で柘植氏は、世代を分けることは「きっかけとしては大事」としながら、「目の前の一人ひとりとしっかり対話もすべき。何に対して心が前のめりになっているかはそれぞれ違うので、個別の“感察”は必要だと思っています。見て察する観察ではなく、一緒に感じて察する“感察”ですね」と話す。

 中野氏によれば、ドイツでは無駄を嫌う指導者が増えているという。練習も長くやればいいわけではなく、あえて短時間で終わらせると、次の日に選手たちがいつも以上に頑張ったりもする。そういったアプローチを意識し始めているのが稲田氏だ。

「日本の部活は1年中、ほぼ毎日やり続けるのが一般的ですが、今の大学で考えているのは、例えば夏休み中の9月を丸々休みにして、その間にラグビー以外のチャレンジを生徒にさせるような取り組み。人生全体で見てもそれはプラスに働くのではないかと思っています」

 そして昨今、社会問題化しているスポーツコーチングの在り方に関する、柘植氏の率直な感想が印象深い。

「もともと、親に早く帰ってきなさいと言われても止めないほど大好きだったスポーツを、無理やりやらされている状況って、どうなのかなって思いますよね。選手が成長実感できる場作りとか問いかけをしていくことが、やはり指導の大きなポイントなんでしょうね」

 ただ純粋に好きだったスポーツに、いつしか目に見える様々な価値観(勝利や報酬など)が乗っかってくる。その時に「楽しむ」という本質を忘れさせないような土台を、いかに大人が作っていけるか──。子どもたちの成長を第一とするプレーヤーズファーストの考え方が、スポーツに限らず、子育てやあらゆる教育の場で必要だと、そんな思いを新たにした120分だった。

構成●THE DIGEST編集部
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