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バレーボール

ミュンヘン五輪金メダリストの横田忠義さんが75歳で死去。男子バレー全盛期を支えた「クロス打ち」の名手

北野正樹

2023.05.17

 高校時代から腰を痛め、ミュンヘン五輪でセットカウント0-2から「奇跡の大逆転」と呼ばれたブルガリア戦では、試合途中にベンチに退き自転車のゴムチューブを腰に巻き付ける荒療治でコートに戻り、プレーを続けた。
 

 木村さんも「腰の痛みを和らげるため、自転車のチューブを腰に巻いてプレーしていた姿が今も目に浮かびます」と偲ぶ。

 そのブルガリア戦を、横田さんは「最も印象に残る試合でした。あの試合で、人生は最後まであきらめてはいけないんだということを学びました」と振り返っていた。

 両エースと呼ばれた大古さんとは、良きライバルだった。大古さんによると、金メダルを獲得した夜、選手村の部屋で「お前は本当にすごい選手だ。オレはお前を認める」とお互いをたたえ合い、大好きなお酒を酌み交わし朝まで語り明かしたという。

 ミュンヘンの仲間とは松平夫妻を囲む「ミュンヘンの会」で定期的に会合を持ち、コロナ禍までは松平夫人を囲んで旧交を温めていた。森田さんは「約7年前に北海道で開いたミュンヘンの会で会ったのが最後。代表入りする前年の18歳から付き合いが始まりましたが、無名でキャリアのない私は、全国大会経験者の彼がいてくれたおかげで助かりました」と振り返る。

 「派手なことはしなくていい」という生前の横田さんの言葉を守り、長男で元男子日本代表の一義さんら家族らに見送られた横田さん。
 天国で松平さんや、83年に早世したセッターの猫田勝敏さんらとバレーボール談義をすることだろう。

取材・文●北野正樹

【著者プロフィール】
きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。関西運動記者クラブ会友
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