マルコ顧問は、この状況を「満足していない」と語っており、とりわけいまだノーポイントのデ・フリースについては、モナコGP後には「以前よりもユウキに近づいた」と評価し、今後もシートを確保し続けるとしていたが、『Kleine Zeitung』に対しては冗談をまじえながらも、「（レッドブル代表のクリスチャン・）ホーナーは元々、デ・フリースのファンではなかった。現時点では、彼が正しかったように思える」と語り、このオランダ人ドライバーの獲得を決めた自身の判断が誤りだったと認めているようだ（現時点では、だが）。
  「基本的に、ユウキは非常に良いシーズンを送っているが、残念なペナルティーがあった。しかし、パフォーマンスは良い」とマルコ顧問から称賛された角田の成長を除けば、ポジティブな要素が見つからないアルファタウリ。大きな改革が断行されるのは、この厳しい現状と無関係ではないだろう。

　英国のモータースポーツ『THE RACE』は「非常に不安定な５チームの現状」と題した記事において、マクラーレン、アルファロメオ、ハース、ウィリアムズとともに、この最下位チームを取り上げており、ここまでの車、ドライバーのパフォーマンスを評価している。

　今季の車「AT04」については、「速さでは平均で10台中９番目の車だが、時にはまともなスピードを示し、特にアゼルバイジャンとモナコの予選では中団争いをリードした。低速コーナーでの挙動に大きな弱点を抱えてシーズンをスタートし、その後、オーストラリアとモナコでのフロアアップグレードによって、改善はされている」と、進歩していることを強調しているものの、それも“低次元”でのものという感じだ。

　一方、ドライバーに対しては、角田が「11位で３回、12位で１回フィニッシュしているという事実は、車のペースを考慮すれば、かなりドライビングが安定していることを示している。これまでのところ最高のF１シーズンを快適に過ごしており、安定して良い予選、レースを続けている」、デ・フリースは「瞬発的なスピードは見せるものの、予選やレースでトップ10に入ることができず、残念な結果となった」と、評価は対照的である。

「車がスタート時に不安定になること、低速コーナーでアンダーステアになることの改善が優先事項。この問題に取り組むための次のステップとして、新たなフロアのアップグレードが必要だ。ウィリアムズとの最下位回避の争いから脱却するには、さらなるステップが必要だ」と、技術面の課題を提示されたアルファタウリは、今季、ここから上昇曲線を描くことができるか。あるいは、大改革が断行される来季以降までそれを待つ必要があるのだろうか……。

構成●THE DIGEST編集部
【動画】大激戦のスペインGP！ 角田裕毅は９番手でゴールするも…

【関連記事】角田裕毅の急変貌にF１公式サイトも注目！ 「この日本人は昨年とは別人」と関係者も驚く成長の要因は？

【PHOTO】各チームニューマシンを発表！2023年シーズンを戦うＦ１全チームの新車を一挙紹介！