ナミュールは、昨年の富士ステークス(1着)を経るローテーションではなく、安田記念(2着)から十分な休養を挟んでのぶっつけ参戦となる。この点について高野調教師は「昨年はGⅠも取れていない立場だったのでステップレースを踏む過程が必要だと感じたが、今年はGⅠを勝っている立場。コンディションさえ整えていれば結果は出ると思うし、フレッシュでエネルギーに満ちた状態での走りの方がより高いパフォーマンスを出せるという判断」とコメントし、自信をのぞかせている。
1週前、最終とも追い切りは馬なりだったが、動きの切れ味はGⅠ馬のそれだと納得できる素晴らしさ。「(亡くなった)藤岡康太も応援してくれると思うし、ディフェンディングチャンピオンとして負けられないという気持ちもある。馬の状態は間違いなくいいので、『勝ちましょう』という感じで厩舎一丸となってやっている」と高野調教師は自信を明かす。ブレイディヴェーグと甲乙付け難い存在である。
3番手には英国調教の欧州トップマイラーと謳われるチャリンを挙げる。マイルのG1レースを3勝しているとはいえ、欧州でのそれは時計の面で不安を残すのではないかとう声も聞こえるし、それが完全に否定できるものでもない。しかし、今年8月のジャックルマロワ賞(G1、ドーヴィル・芝1600m)では1分33秒98という好タイムで勝利を挙げていることから見ると、欧州にあって本馬のスピード能力が長けていることは疑いないところだろう。父のダークエンジェル(Dark Angel)は欧米の芝スプリント、マイル路線で夥しい数のG1ホースを送り出している名種牡馬で、本馬はその代表産駒といえる存在である。
ちなみにチャリンは13年ぶりに本レースへ出走する外国馬となるが、前回の2011年に参戦した2頭のうち、サプレザ(牝6歳/仏・R.コレ厩舎)は4番人気で3着に食い込んでいる。くれぐれも侮ってはならない。
冒頭に挙げた有力馬はもちろん押さえておきたいが、それに加えて一角崩しを狙う存在として1頭付け加えておきたいのがエルトンバローズ(牡4歳/栗東・杉山晴紀厩舎)である。
昨秋は3歳にしてソングライン、シュネルマイスター、ジャスティンカフェらの強豪古馬を破って毎日王冠(GⅡ)を優勝。その後のマイルチャンピオンシップでは4着、今年の安田記念では8着と敗戦を喫してはいるが、7月の中京記念(GⅢ)を3着とすると、秋初戦の毎日王冠では僅差の3着に食い込んで復調気配を見せている。
追い込み脚質の有力馬が多いなか、前目で競馬できるのは明らかに有利な材料で、杉山調教師は「毎日王冠の前から馬の状態がすごく上がっていた。今の状態は昨年と同じか、それ以上かというところだと思っている」とコメントしているように、前走からの上がり目も見込める。本レースは昨年4着としているところから、格で見劣りすることはなく、コース適性も上々。どの馬を本命にするにしろ、ぜひ相手に加えてほしい1頭として推しておきたい。
文●三好達彦
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3番手には英国調教の欧州トップマイラーと謳われるチャリンを挙げる。マイルのG1レースを3勝しているとはいえ、欧州でのそれは時計の面で不安を残すのではないかとう声も聞こえるし、それが完全に否定できるものでもない。しかし、今年8月のジャックルマロワ賞(G1、ドーヴィル・芝1600m)では1分33秒98という好タイムで勝利を挙げていることから見ると、欧州にあって本馬のスピード能力が長けていることは疑いないところだろう。父のダークエンジェル(Dark Angel)は欧米の芝スプリント、マイル路線で夥しい数のG1ホースを送り出している名種牡馬で、本馬はその代表産駒といえる存在である。
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