1着から3着のゲート番号を見ると、アドマイヤズームが1番枠、ミュージアムマイルが4番枠、ランスオブカオスが3番枠と、上位を内枠に入った馬が独占した。さらに、6着までが馬番にして8番以内、枠にして4枠以内を占めている。結果として、スローペースで進んだがゆえ、内からロスなくレースを進め、直線でスムーズに外へ持ち出せた馬が好走するという変種のトラックバイアスが生じていたと言えるかもしれない。
アドマイヤズームは、父モーリス、母ダイワズーム(父ハーツクライ)という血統で、2023年のセレクトセール1歳セッションにおいて1億1500万円(税別)で落札された高額馬である。1番人気に推された10月のデビュー戦(京都・芝1600m)は中団から伸びきれずに勝ち馬から0秒3差の4着に敗れた。しかし、続いて出走した11月の未勝利戦(京都・芝1600m)では2番手から抜け出すと2着に3馬身差を付け、1分33秒9の好時計で快勝した。
友道調教師は、「未勝利戦がデイリー杯(2歳ステークス)の翌日で、そのレースとの時計の比較などから、ここでもいい競馬ができると思って参戦を決めた」と経緯を説明しているが、名トレーナーの慧眼にはあらためて感心しきりである。
川田騎手が「とても難しいタイプの馬」、友道調教師が「日ごろからテンションが上がりやすい馬」と評するように、メンタルの若さが課題となるのだろうが、本レースでのパフォーマンスを見ると能力の高さは歴然。来春の目標はNHKマイルカップ(GⅠ、東京・芝1600m)となる模様で、この路線を引っ張る主役となることは間違いない。
2着のミュージアムマイルは、芝1600mのデビュー戦を3着としたあと、未勝利戦(京都・芝1800m)、1勝クラスの黄菊賞(京都・芝2000m)を連勝して臨んできた。スタートの遅さも含めて中長距離向きだと思われ、徐々に距離を伸ばしていたなかでのマイルGⅠへの参戦には正直なところ首を傾げざるを得なかったが、能力で2着まで押し上げた印象。来春はクラシック戦線での活躍に期待したい。
12月1日の新馬戦(京都・芝1400m)を勝ち上がったばかりで、キャリア1戦ながら3着に食い込んだランスオブカオスはシルバーステート(父ディープインパクト)の産駒。上位と差は付けられたが、前残りの展開のなか中団の後方から追い込んだ力強さは特筆すべきもの。これからの伸びしろの大きさに楽しみは増す。
アルテヴェローチェはスローな流れに折り合いを欠き、またトータルクラリティは好位を進みながらも力んだ走りにスタミナを奪われて、両頭とも直線では本来の力を出し切れなかった。まだ見切るべき馬ではなく、来春、仕切り直しの一戦を見守りたい。
文●三好達彦
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アルテヴェローチェはスローな流れに折り合いを欠き、またトータルクラリティは好位を進みながらも力んだ走りにスタミナを奪われて、両頭とも直線では本来の力を出し切れなかった。まだ見切るべき馬ではなく、来春、仕切り直しの一戦を見守りたい。
文●三好達彦
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