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アスリートキャリア

元Jリーガーの事業家・嵜本晋輔氏が「アスリートのためのデュアルキャリア採用」を打ち出した狙いと近未来の壮大な夢

吉田治良

2021.01.20

──サッカー選手のセカンドキャリアにはネガティブなイメージがありますが、そうやって意識が変わっていけば、状況も変わっていくのでしょうか?

嵜本 意識が変われば、劇的に人生は変わりますし、前向きな撤退ができます。私自身も22歳の時に引退できたからこそ、今があると思うんです。あの時、中途半端に活躍して、サッカーの世界に漫然と身を置いてしまっていたら、今の人生は絶対にない。早くに見切りをつけたことで、手にしたものがある。しがみつくのではなく、手放すという生き方は、アスリートに限らず、非常に大切だと感じています。

──では最後に、今後の展望についてお聞かせください。

嵜本 バリュエンスとしては、ブランドリユース業界で日本一に近づいているので、今はいかにして世界に影響力を与えられるような会社になるかというところにフォーカスしています。一方、スポーツとアスリートの可能性を広げるために、2019年12月に設立したデュアルキャリア株式会社に関しては、我々が生み出した新しいサービスを実際に使っていただける方を増やし、「アスリートの持続可能な未来を創る」というミッションを、なんとしても実現したいですね。
 
──例えば、バリュエンスグループとして、サッカークラブを持つような考えはないんですか? そうすれば、アスリートのデュアルキャリア採用も加速するかもしれません。

嵜本 もちろんありますよ。クラブチームを持つというのは、私の夢のひとつでもありますから。ただ、チームを持った上で、サッカー以外の教育の部分もしっかりと整備したいですね。教育制度が充実しているクラブを作れたら、弊社を選んでくれる方も増えると思うんです。

──それはどのくらい先のお話ですか?

嵜本 早ければ早いほうがいいですね。もしかすると、公私混同をしているんじゃないかと受け取られてしまうかもしれませんが、これって、実はサスティナブル経営の一環だと思うんです。これからは単純に営利目的で会社を成長させるだけでは、企業価値は上がっていきません。大きな意味でのサスティナブルな世の中を作っていくなかで、その事業のポートフォリオとしてクラブチームを持つというのは、今後、ひとつのスタンダードになっていくのではないかと。目先の利益だけを追い求めるのではなく、人がまさに「らしく生きられる」経営ができている会社こそが、企業価値という点で評価される時代になると思っています。

──思い描かれているのは、やはりサッカークラブなんですね。

嵜本 私が急にバスケチームを持ったら、きっと違和感しかないと思いますから(笑)。

取材・文●吉田治良(スポーツライター)

■プロフィール■
嵜本晋輔 Shinsuke SAKIMOTO
1982年4月14日、大阪府出身。関西大学第一高校卒業後、ガンバ大阪に入団。3年で戦力外通告を受けると、JFLの佐川急便大阪SCを経て、2004年に引退。その後は父が経営していたリサイクルショップで経営のノウハウを学び、2011年に株式会社SOU(現バリュエンスホールディングス株式会社)を設立。代表取締役に就任する。2018年3月に東証マザーズへ株式上場。さらに2019年9月には、アスリートやスポーツの可能性を広げる目的で、FAN AND株式会社(現デュアルキャリア株式会社)を設立。アスリートたちのデュアルキャリアを支える取り組みを進めている。

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