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バルサの中盤に再編の波が! ペドリの不動ぶり、エリク・ガルシアのマルチロール化、フェルミンの台頭が序列を揺るがす! デ・ヨングやダニ・オルモの起用法にも変化が…

THE DIGEST編集部

2025.12.10

右利きのE・ガルシアだが、ソシエダ戦では左サイドバックで起用さされた。(C)Getty Images

右利きのE・ガルシアだが、ソシエダ戦では左サイドバックで起用さされた。(C)Getty Images

 ラ・リーガ第15節のベティス戦の逆転劇(5-3)を牽引したラミネ・ヤマルとペドリを後方から支えたのが、エリク・ガルシアだった。今シーズンはハンジ・フリック監督の厚い信頼を得て本職のCBに加え、中盤の底、左右のサイドバックと様々なポジションをこなしながら、ここまでチーム最多の公式戦22試合(出場時間=1681分)の出場を記録。そのマルチな働きぶりを、著名ジャーナリストのリカルド・トルケマダ氏は、「これだけ複数の異なるポジションでレギュラーとなった選手は、サッカー史上初めてかもしれない」とオーバー気味に表現する。

 フリック・バルサの中盤には、アンカーに加えて、ビルドアップから崩しやフィニッシュと攻撃の全局面に絡むインサイドハーフと、最もゴールに近い位置でプレーするトップ下の3つのポジションがあり、様々な選手が起用されている。その中で唯一不動の存在が、インサイドハーフの役割を見事に体現するペドリで、スペイン紙『SPORT』の編集長ジョアン・ベイルス氏は「秩序をもたらし、落ち着きを与え、攻撃のリズムを刻む。彼の好調時は、バルサは止められないマシンと化す」と評価する。

 その一方で、アンカーのレギュラー一番手だったフレンキー・デ・ヨングは、コンビを形成してきたペドリの不在時(チェルシー戦などで)に中盤を牽引する存在となれず、周辺ではスタメン論争が勃発。9日のフランクフルト戦もフリック監督はエリク・ガルシアをアンカーに置き、デ・ヨングは66分にラフィーニャに替わってピッチに立った。

 ベティス戦でヤマルが務めたトップ下のポジションは、開幕時は、ダニ・オルモが一番手だった。シュート力、判断力、技術力の三拍子が揃い、右ウイングのヤマルとのコンビネーションでも冴えを見せた。しかし、前出のトルケマダ氏は、「ダニ・オルモは才能とパフォーマンスをうまく結びつけられないアスリートの典型例だ。限られた能力をより効果的に活用する選手と比べると、彼のような実力派のタレントはより厳しい評価基準が適用される傾向がある」と指摘する。今シーズンもここまで不完全燃焼に終わっており、怪我の多さがさらに追い打ちをかけている。
 
 その間隙を突いてポジションを奪い取る勢いなのがフェルミン・ロペスだ。フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は、「レギュラーとしての地位を確立しつつある。彼は常にチームにプラスアルファを与える。同じトップ下のポジションを務めたときのダニ・オルモの低調なパフォーマンスを観ていれば、なおさそう考えざるを得ない。枠内へ精度の高いシュートを放ち、前線を幅広く動いてボールを引き出し、強度の高いプレッシングでエネルギーをもたらす。フリックにとって非常に有用な選手だ」と称賛する。

 アンカーには昨シーズン前半戦でスタメンを張ったマルク・カサド、長欠明けのマルク・ベルナルが控え、カサドはインサイドハーフもこなす。デ・ヨングとダニ・オルモもペドリ不在時にはインサイドハーフのポジションでプレー。トップ下にはヤマルだけでなく、ドロ・フェルナンデスが台頭し、ラフィーニャとルーニー・バルドグジも対応可能だ。

 ただ今シーズン、その自慢の中盤がコントロールし切れない試合があった。パリ・サンジェルマン(1-2)、レアル・マドリー(1-2)、チェルシー(0-3)といった強豪との対戦で、だ。いずれも苦杯を舐めている。現地では中盤を1枚増やしてダイヤモンド型の4-4-2を試すべきといった声も出ているし、あるいはフェルミンのような選手を偽ウイングとして左サイドで起用すれば、同様に中盤に厚みを持たせられるとの想像はできる。

 負傷離脱中のガビを抜きにしても、バリエーションには事欠かない。いずれも知性と技術に長け、その中でもそれぞれに特徴がある。ペドリを軸に対戦相手や試合状況、スコアに応じたフリック監督の用兵がだからこそ重要になってくる。

文●下村正幸

【動画】CL6節バルサ対フランクフルト ハイライト

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