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海外サッカー

勝利だけが延命条件──“マッチボール”に追い込まれたマドリーのシャビ・アロンソ監督の孤独な戦い

下村正幸

2025.12.18

解任の噂が出ているマドリーのシャビ・アロンソ監督。(C)Getty Images

解任の噂が出ているマドリーのシャビ・アロンソ監督。(C)Getty Images

 スペインでは、あと1ポイント取れば、その試合の勝利が決まるテニス用語のマッチポイントをサッカーに転用して、解任の危機に瀕している監督が迎える決定的な試合を“マッチボール”と呼ぶ。

 開幕以来、成績が低迷し、いくつかのマッチボールをしのいできたレアル・ソシエダのセルヒオ・フランシスコ監督は、ラ・リーガ第16節でジローナにホームで逆転負け(1-2)を喫した翌々日に解任された。

 地元紙『noticias de Gipuzkoa』のミケル・レカルデ記者は、試合前の時点で、「クラブ上層部が今後数シーズンにわたって彼を船長としてチームを指揮させる気がなく、彼の続投が常に綱渡りの状態となり、繰り返し決断が先送りにされるのであれば、今すぐに解任すべきだ」と見解を述べていた。
 
 一方、同じラ・リーガ16節に敵地でアラベスを2-1で下し、マッチボールを制して延命を果たしたのがレアル・マドリーのシャビ・アロンソ監督だ。しかしスペイン紙『AS』によると、まだ綱渡りの状態は続いており、17日のコパ・デル・レイ3回戦のタラベラ(3部)戦は3-2で勝利したものの、20日に実施されるラ・リーガのセビージャ戦(17節)も同様にマッチボールになるという。

 ラジオ局『Cadena SER』のスポーツ番組『Hora 25 Deportes』の司会進行役を務めるヘスス・ガジェゴ氏は、シャビ・アロンソ監督の置かれた立場について次のように記している。「現時点では、勝利だけが、彼の地位を維持するだろう。なぜなら、彼がチームの戦い方やロッカールームでの影響力を変えられるという見通しは、夢物語のように思えるからだ。試合に勝ち続ける限りは持ちこたえるだろうが、周囲の熱は冷めており、就任時にその手腕に寄せられた期待は、すでに薄れてしまっている」

 シャビ・アロンソ監督は介入型の監督という看板通り、就任当初は、主力にも遠慮なしの選手起用を行なうという気概を見せていたが、途中交代に不満を爆発させたクラシコでのヴィニシウス事件がターニングポイントになった。

 現地では、クラブが選手側に回ったという論調がもっぱらで、事実、ヴィニシウスは自身の公式Xに謝罪文を掲載しただけで何のお咎めもなく、その一方でシャビ・アロンソ監督は求心力を低下させていった。それは、クラシコまでの公式戦12試合で5度あったヴィニシウスの80分までの途中交代が、その後の10試合では、すでに勝敗が決した展開でのバレンシア戦とアスレティック・ビルバオ戦の2試合に限られている。
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