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日本代表

政治色の強いW杯で選手たちが発信する様々なメッセージ。米メディアは皮肉交え独自の観戦ルールを提言「かつての宗主国ではなく植民地を応援する」

THE DIGEST編集部

2022.11.25

政治的な発言や行動が目立つ今大会。選手たちも様々なメッセージを発信している。(C) Getty Images

政治的な発言や行動が目立つ今大会。選手たちも様々なメッセージを発信している。(C) Getty Images

 カタール・ワールドカップのグループリーグ初戦、日本代表に1-2の逆転負けを喫したことが世界レベルの大きな話題となっているドイツ代表だが、この一戦の前のある行動も注目を集めることとなった。
 
 試合前の集合写真撮影の際、彼らは揃って自らの手を口で覆うしぐさを見せた。写真はドイツ・サッカー連盟(DFB)によってSNSに投稿されたが、これは「One Love」という文言とハートマークが入った、多様性を示す虹色の腕章をキャプテンのマヌエル・ノイアーが腕に巻く予定だったのが、政治的なメッセージを禁止するFIFAに着用した場合は即刻選手に警告処分を科すと通達されたことに対しての抗議の表現だったという。

 なお、この腕章はドイツの他、イングランド、ベルギー、デンマーク、フランス、スイス、ウェールズ、オランダと、欧州7か国で使用される予定だったが、いずれも断念。またベルギーは腕章だけでなく、「ONE LOVE」の文字と虹色のデザインが入ったアウェー用ユニホームの着用もFIFAから認められず、「LOVE」の文字をステッカーで隠すことで対応することになるとのことである。

 これに限らず、今大会は招致段階での買収疑惑が囁かれ、またインフラ建設において多くの移民労働者が命を落としたこと、性的マイノリティーに対する差別的な姿勢など、人権問題をめぐっても、大会前から開催国カタールには主に西側諸国から批判の声が多く上がっている。

 また、イランでは今年9月に、女性に髪の毛を覆うことを義務づけた法律に違反したとして22歳の女性が道徳警察に逮捕され、その後に死亡した事件をきっかけに国内に抗議デモが広がり、この参加者の中からも多数の人々が拘留施設などで命を落としているという恐ろしい状況にある。

 これに対し、イラン代表はデモ参加者や犠牲者への連帯を示し、また政府の弾圧に対して抗議する意味で、イラン代表はイングランド戦前の国歌斉唱時に全選手が口をつぐみ、キャプテンのエフサン・ハジサフィは「家族を失った全ての遺族に哀悼の意を表する。我々は、彼らと共にある」との声明を発した。
 
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