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日本代表

ドイツ代表、敗退の舞台裏にあった“混乱”。日本戦前日には主力が対立「チームの大半は抗議をよく思ってなかった」【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.12.05

W杯で早期敗退の憂き目に遭ったドイツ。大会初戦で示した抗議ジェスチャーの裏では、チーム内で意見が割れていたという。(C)Getty Images

W杯で早期敗退の憂き目に遭ったドイツ。大会初戦で示した抗議ジェスチャーの裏では、チーム内で意見が割れていたという。(C)Getty Images

 ショッキングなグループステージ敗退の裏でチームは揺れていた。目下、開催中のカタール・ワールドカップ(W杯)で日本代表と同じグループEに属したドイツ代表である。

 下馬評は高かった。ハンジ・フリック監督の下でインテンシティーの高いサッカーを志向したチームは攻守にタレントも揃えた。ゆえに8年ぶりの世界制覇への機運は少なからず高まっていた。
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 しかし、W杯初戦で日本によもやの逆転負けを喫すると、続くスペイン戦は1-1の引き分け。未勝利のまま迎えたコスタリカ戦では白星(4-2)を飾ったが、得失点差でスペインに及ばずに大会から姿を消した。

 3試合を通じて大国らしい自信が感じられなかったドイツ。彼らに小さくない影響をもたらしたのは、日本戦の前に起きた“混乱”だったのかもしれない。

 現地時間12月4日、ドイツ紙『Bild』は、大会初戦の試合直前にFIFAの警告に対する抗議として口を手で覆うパフォーマンスを披露するにあたって、代表チーム内で激しい意見の対立があったとすっぱ抜いている。

 同性愛や同性との関係促進が禁じられているカタールにあって、欧州の7チーム(イングランド、ウェールズ、ベルギー、デンマーク、ドイツ、オランダ、スイス)のキャプテンたちは、LGBTQ(性的少数者)の権利への連帯を表した「ONE LOVE」と記された虹色の腕章を腕に着用する予定だった。だが、この動きを問題視した国際サッカー連盟(FIFA)が、イエローカードの提示などの制裁を科すと警告。当該チームは着用を断念せざるを得なかった。
 
 この時、ドイツ代表内ではカタール、そしてFIFAに何かしらの抗議をするべきか、否かで意見が割れていた。同紙によれば、同チームは日本戦の前日に緊急ミーティングを開催。「1時間ほど白熱していた」という意見交換の場で抗議の意思を示すべきだとしたのは、レオン・ゴレツカとマヌエル・ノイアー。一方でアントニオ・リュディガーやイルカイ・ギュンドアンら大半のメンバーは「僕らがいま集中すべきはサッカーだ」と反対意見を語っていたという。

 最終的にヨシュア・キミッヒが仲裁し、口を覆うジェスチャーを示す方向に至った。この一連の内幕について「どうやらチームの大半は、あの抗議を気分よく思ってはいなかった」と『Bild』は断言。そのうえで、2014年に自身が同性愛者であるとカミングアウトした元ドイツ代表MFのトーマス・ヒツルスペルガー氏が、国内の公共放送局『ARD』で語ったコメントを紹介した。

「結局のところ、選手が色々なことに対応を追われて、良くなかったのかなとは思う。ただ、今のところそれを言い訳にする選手がいないのは、とてもいいことだとも思う」

 日本戦に敗れ、チームとして本調子を掴めなかったドイツ。あの勇気ある抗議行動は、さまざまな影響をもたらしていたようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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