バルセロナが世界に誇るユース組織「ラ・マシア」から、また新たな有望株が台頭した。17歳のCB、パウ・クバルシだ。欧州デビューとなった３月12日のナポリ戦（チャンピオンズリーグのベスト16第２レグ）にフル出場。攻守両面でハイレベルなプレーを披露し、３－１の勝利＆４年ぶりのベスト８進出に貢献した。試合後には、フェルミン・ロペス、ジョアン・カンセロ、ロベルト・レバンドフスキというスコアラー３人を差し置いて、UEFA選定のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いている。

「人生で最良の日のひとつだ！」と試合後に満面の笑みを見せた左CBはこの試合、ナポリのエース、ヴィクター・オシメーンを完全に無力化しただけでなく、攻撃面での貢献も光った。13分には最後尾から前線へ一気の鋭いロングパスでビッグチャンスを生み出し、15分のフェルミンの先制ゴールの場面では組み立ての起点に。その他にも、正確なフィードをたびたび繰り出すなど、視野の広さと右足キックの精度の高さを見せつけた。

　この重要な試合でスタメンに抜擢したシャビ監督も、「パウにはクオリティーがあり、攻撃的なプレーを生み出し、ミッドフィルダーやアタッカーとつながることもできる。彼のプレーを見るのは本当に素晴らしい！」と、その攻撃性能を絶賛。さらに、「バルサとスペイン・フットボール界の未来を明るく照らしてくれる逸材だ」とも語っている。加えて、バルセロナのキャプテン、セルジ・ロベルトも「間違いなく彼がピッチ上で最高の選手だった。あの年齢で、我々を驚かせるプレーをやって見せた。パウにはずっとバルサでプレーして欲しい。謙虚で才能があり、勤勉でもある。これこそがラ・マシアのスタイルなんだ」とクラブの後輩を手放しで称えていた。
  「ベスト８進出は、チームが近年の苦難から抜け出したことを意味する。だからこのMVPのトロフィーは、チーム全員が値するものなんだ。僕たちはグループでハードワークを成し遂げた。とても満足している」と語った背番号33は、「慌てず落ち着いて、自分ができることをする。それでチームを助けられれば完璧だよ。僕は最終ラインからボールを持ち出すのが好きだし、デュエルでは200パーセントで戦うことを意識しているんだ」と自身の“欧州デビュー”を振り返っている。

　バルサでは、カンテラ出身のCBがトップチームに定着した例は、決して多くない。カルレス・プジョールやジェラール・ピケ、ロナルド・アラウホなど数えるほどだ。その意味でも、11歳でラ・マシアに入寮し、16歳でプロ契約を結んだクバルシにかかる期待は大きい。「彼はとても賢い。地に足がついたとても謙虚な少年だ。素晴らしい将来を持っている。おそらく今後数年で最高レベルに達するだろう」とシャビ監督も語るように、今後のさらなる飛躍に注目したい。
　
構成●THE DIGEST編集部

【動画】ナポリ戦後にスタッフやチームメイトの“手荒い”祝福を受けるMVPクバルシ