ニューヨーク・メッツの守護神エドウィン・ディアスが現地12月９日、ロサンゼルス・ドジャースと３年6900万ドル（約108億円）で契約合意した。その翌日には主砲ピート・アロンソがボルティモア・オリオールズと５年１億5500万ドル（約243億円）の大型契約を結ぶなど、メッツファンにとって激震が続いている。

　メジャー通算136勝のメッツOBでニューヨーク放送局『SNY』で解説を務めるロン・ダーリング氏はMLB専門放送局『MLB Network』に出演し、メッツから主力が立て続けに流出している事態について私見を論じている。

　現地11日の米誌『Sports Illustrated』によると、投打の主軸が移籍したことについて同氏は「ファンが落胆するのも無理はない」と同情。「アロンソは７年間でメッツの顔とも言える存在となり、通算264本塁打で球団記録を樹立。重要な局面で何度も結果を残してきた選手だ」と紹介し、球団生え抜きのスター選手流出は大きな痛手だと嘆いた。
  　アロンソは今季162試合に出場し打率.272、OPS.871（出塁率.347、長打率.524）をマーク。38本塁打はリーグ４位、126打点は同２位とリーグ屈指の打者のひとりとして、高いスタッツを叩き出した。

　チームに欠かせない主力として活躍した31歳について、ダーリング氏は「打線を補強しない限り、メッツはフアン・ソトに年間150回の四球を与えることになってしまう。ここ２日間、メッツファンにとって本当に苦しい毎日が続いている」とアロンソの後継者となるスラッガーの補強を提言した。

　加えて、移籍したアロンソに対してオリオールズが以前から積極的にアプローチしていたと明かす。「アロンソはボストン・レッドソックスとオリオールズの球団スタッフと会って話をしていた。オリオールズはカイル・シュワーバー獲得に本気だったから、フィラデルフィア・フィリーズがあの金額（５年約235億円）をオフに出したんだ。オリオールズは大物を狙っていると言っていたし、その次なるターゲットにアロンソが選ばれた」と、電撃移籍の裏事情を暴露した。

　移籍情報に詳しいダーリング氏は、次にドジャースに移籍したディアズについても触れ、「ドジャースは欲しい選手を必ず手に入れる」とため息。メッツで通算144セーブを積み上げた最強クローザーを強奪された事実に肩を落とした。

　今季メッツはシーズン前半を圧倒的な強さで地区首位を独走していたが、オールスターブレイク明けの後半戦に歴史的な大失速。83勝69敗でプレーオフ進出を逃した。そこから立て直しを図るはずの今オフ、チームは投打の主力選手を流出する事態に陥っており、ファンの動揺は広がっている。

構成●THE DIGEST編集部

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