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トミー・ジョン手術は「不要不急」?コロナ拡大がもたらした「自粛要請」をめぐる論争がアメリカで加熱

2020.04.01

知事からの行政命令に背く(?)形でトミー・ジョン手術を受けたシンダーガードには一部から批判の声が出ている。(C)Getty Images

知事からの行政命令に背く(?)形でトミー・ジョン手術を受けたシンダーガードには一部から批判の声が出ている。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスの問題はさまざまな面で球界にも大きな影響を及ぼしている。

 3月31日(現地時間)、トミー・ジョン手術(TJ手術)の権威として知られるジェームズ・アンドリューズ博士がしばらくの間、TJ手術の執刀を控えることを明言した。これは、自身の医療施設があるフロリダ州知事からの緊急性がない手術を延期するようにとの行政命令に従ったもの。

 実はこの前から、「果たしてトミー・ジョン手術は“不要不急”なのか」という議論が持ち上がっていた。きっかけになったのは、『スポーツ・イラストレイテッド』誌の電子版が報じたある記事だった。それによると、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、アメリカ外科学会が3月13日に、緊急性がない手術を最小限にとどめるか延期、もしくは中止することを提言していた事実が明らかになった。
 
 加えて、フロリダ州知事からの行政命令は20日に出されていた。それにもかかわらず、26日にノア・シンダーガード(ニューヨーク・メッツ)が同じフロリダ州でTJ手術を受けたことで、一部でシンダーガードや球団を批判する声が出ているのだ。ちなみに、30日にはクリス・セール(ボストン・レッドソックス)がロサンゼルスでTJ手術を受けている。

 問題はTJ手術が行政命令にある「手術を遅らせても患者の健康や安全をただちに脅かさず、病状を悪化させたり生命の危険に晒すこともない」という条件に該当するかどうか。確かに、TJ手術が生命を左右するものとは考えにくい。一方で、シンダーガードと同じメッツに所属するピーター・アロンゾはツイッターで「ノアの手術をするのは外科医で、最前線でパンデミックと戦っている人たちじゃない」「絶対に手術が必要だから受けるんだ」とチームメイトを擁護している。

 アンドリュース博士の発表を受け、今後TJ手術の執刀はゼロにならないまでも、かなり減少するだろう。そうなれば、21年以降のMLBの戦力図にも影響を与えるかもしれない。

構成●スラッガー編集部

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