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NY在住20年以上のスポーツライター杉浦大介が見た「ロックダウン下の現実」とアメリカスポーツ界の未来

杉浦大介

2020.04.05

メッツの本拠地シティ・フィールド。試合は行われていないが、「Stay Safe, Stay Home」と市民へ向けてメッセージを発信している。(C)Getty Images

メッツの本拠地シティ・フィールド。試合は行われていないが、「Stay Safe, Stay Home」と市民へ向けてメッセージを発信している。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスの拡大で、ニューヨークでは"ロックダウン(外出制限)"の中での生活が続いている。すでに学校、ジム、観光名所などが次々と閉鎖され、レストラン、バー、カフェでの飲食も禁止。不要不急の外出は禁じられ、友人、知人などと直接接する機会はほとんどなくなってしまった。

 "世界の首都"と呼ばれた大都会らしい活気は失われ、燃え盛っていた炎が突然消えたかのよう。多数の感染者、死者を出している状況では、それも仕方ないのだろう。

 もっとも、ニューヨークの生活に関しては、少々ネガティブな部分ばかりが強調されすぎているきらいもあるのではないかとは思う。この緊急事態下で、私ももう10年以上も連絡を取っていなかった友人、知人からもメッセージを受け取った。彼らの心配そうな文面を読んでいると、まるで戦地での生活を強いられているかのように錯覚してしまう。
 
 ただ、確かに大変な事態ではあるが、しっかり注意した上でなら買い物、ジョギング、散歩はできるし、まったく外に出られないわけではない。スーパーマーケット、コンビニなどは営業しており、歩いている人も一定数見受けられる。食料などで必要品は出るもので、マスクで顔半分を覆ったスタイルで私もほとんど毎日のように駅前に買い物に出ている。

 がらんどうのショウケースが写真に撮られ、買い占めが派手に伝えられてはいるが、一部を除いて深刻な物不足に陥っているという実感はない。買い物時には周囲の人間と6フィート(約180cm)のソーシャルディスタンスを保たねばならず、不便ではあっても食品は豊富にあり、必要品が買えないという状況ではない。2001年の同時多発テロ事件直後と同様、現在のニューヨークには市民一丸となって苦境を乗り越えようという空気が確実に存在する。
 

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