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【追悼コラム】新型コロナの犠牲になった名フォトグラファーはスポーツを、人間を、そして写真を愛した好漢だった

田口有史

2020.04.15

メッツのキャンプ地で撮影中のコージ氏。誰からも愛される好人物だった。写真:田口有史

メッツのキャンプ地で撮影中のコージ氏。誰からも愛される好人物だった。写真:田口有史

『ニューヨーク・ポスト』紙で長年スポーツフォトグラファーを務めたアンソニー・コージ氏が、新型コロナウイルスのため12日に48歳の若さで亡くなった。MLBやNBA、NFL、テニスや格闘技など幅広いスポーツの写真を取り続けたコージ氏は、優れたフォトグラファーであると同時に、誰からも愛される好人物だった。

 コージ氏の死が発表された後、元ヤンキースのデレク・ジーターやアレックス・ロドリゲスをはじめ、メッツGMのブロディ・ヴァンワゲネンやノア・シンダガード、格闘家のコナー・マグレガーなどスポーツ界から広く追悼の声が聴かれた事実が、彼の影響力の大きさを人柄を物語っている。

 今回、日本を代表するスポーツフォトグラファーで故人とも親交があった田口有史氏が、THE DIGESTに追悼コラムを寄せてくれた。
 
 最後に会ったのは今年2月、マイアミでのスーパーボウルだった。そのままフロリダに残ってメッツのスプリング・トレーニングを撮影するアンソニーと、一度ソウルへ向かってフィギュアスケートの撮影をしたのち、アメリカに戻ってアリゾナとフロリダを回る僕。「じゃあ、また来週か再来週!」。試合後、写真を送るのに忙しい中、彼はわざわざ席を立って、笑顔でハグを交わして別れた。

 主にサンフランシスコ近郊で撮影してきて、全米各地を回って撮るようになったのは、『SLUGGER』が創刊された1998年頃という僕がアンソニーと初めて会ったのは、旧ヤンキー・スタジアム。一塁側ヤンキースのベンチ上、コンコースレベルの「セクション11」と名付けられていたカメラポジションだった。

 イニング間に他のカメラマンに「昨日の写真、良かったよ」「またいい写真撮っていたね」など声をかけて回っていて、なんだか元気のいい兄ちゃんがいるなぁ。というのが第一印象だった。それから何度となくヤンキー・スタジアムへ、そして当時メッツの本拠地だったシェイ・スタジアムへ行ったけれど、彼はいつも現場にいた。
 

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