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プロ野球

「世代」で見るソフトバンクの選手層――千賀と甲斐の同学年バッテリーは育成同期。次代の主力である95年生まれの切磋琢磨にも注目

氏原英明

2020.06.27

エースの千賀(左)、そして正捕手の甲斐(右)は育成ドラフト同期の同い年。彼らの存在は育成選手たちの励みになっていることだろう。写真:山崎賢人(THE DIGEST編集部)

エースの千賀(左)、そして正捕手の甲斐(右)は育成ドラフト同期の同い年。彼らの存在は育成選手たちの励みになっていることだろう。写真:山崎賢人(THE DIGEST編集部)

 チーム作りの基本は競争だ。選手間の競争意識を煽る要素の一つに“年齢”がある。あえて同年齢の選手を揃えて切磋琢磨させることが、チーム強化につながるのだ。

 今回は、2017~19年に3年連続日本一に輝いたソフトバンクを見ていこう。

 12球団屈指の層の厚さを誇るソフトバンクは、多くの育成選手を抱えることができるキャパシティを持つ。現在の育成選手数は、巨人と並んで他球団を圧倒している。だが、ただ数を多くするだけでは、選手のモチベーションは上がらない。一軍で成功する選手を輩出することで、彼らに続く存在が出てくる。そんな好循環がこのチームにはある。

 現在チームの骨格を支えるのも、育成上がりの同期3人組だ。エースの千賀晃大、正捕手の甲斐拓也、そしてユーティリティ・プレーヤーの牧原大成。彼らは10年の育成ドラフト同期。そして、ともに1992年生まれの同い年だ。彼らがチームの骨格にいることで、ファームにいる選手たちにどれだけのモチベーションを与えているかは、推して知るべしだろう。
 
 一方、その他のメンバーを見ると、柳田悠岐と同学年だった福田秀平が昨オフ、F Aでロッテに移籍したために、少しばらけた世代構成になっている。ただ、18年の日本シリーズで正遊撃手の今宮健太が離脱した後を支えたのが、同じく91年生まれの西田哲朗だったという同世代連携も見られる。ベテランの正三塁手としてチームを引っ張る元気印の松田宣浩と内野のユーティリティを務める川島慶三も、83年生まれの同い年だ。

 とはいえ、今後を考えると中心になってもらいたい世代もいる。高橋礼、大竹耕太郎、上林誠知、周東佑京の95年世代だ。

 もともと支配下選手だった高橋と上林に対し、大竹、周東は育成上がり。この構図は実に心憎い。お互いにこれほど刺激になる存在もいない。特に昨季は不調だった上林が周東のブレイクをどう見ていたかは気になるところだ。

 また、アメリカからやってきたカーター・スチュアートJr.と、支配下登録されたばかりのスラッガー、砂川リチャードも99年生まれの同い年だ。

 こうして見ると、ソフトバンクは段階的にチームの格となる選手たちを作っていることがわかる。選手層は勝手に作られているものではなく、意識して編成していかなければならないということであろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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