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MLB

「野球を奪った悪者」と呼ばれた94年ストの“当事者“が警鐘!コロナ禍による給与減額争いは「当時と同じに見えてしまう」

SLUGGER編集部

2020.05.21

殿堂入り左腕グラビンが語る選手会としての立場の難しさとは? (C)Getty Images

殿堂入り左腕グラビンが語る選手会としての立場の難しさとは? (C)Getty Images

 7月上旬の開幕に向けて徐々に動き始めたメジャーリーグ。しかし新型コロナウイルスに対する安全面の問題もさることながら、ビジネス面に関して機構と選手会の溝が埋まっていない。

 すでに数百億円の損失が出ているオーナー側は、試合再開に伴う収益回収だけではなく、選手などの給与を削減することでマイナスを抑えようとしている。しかし、“世界最強”の労使組合と言われているMLB選手会は反発。3月下旬、今季年俸に関しては日割り計算によって支払うとの取り決めを結んだにもかかわらず、5月上旬に行われたオーナー会議で「選手年俸は今季収益の最低48%」という案が承認されたことに憤りを感じているようだ。

 実際に、トレバー・バウアー(シンシナティ・レッズ)は「僕たちは合意した金額が欲しいだけ」と語り、さらに2018年サイ・ヤング賞投手のブレイク・スネル(タンパベイ・レイズ)に至っては「給与が支払われないなら、投げるつもりはない」と過激な発言をする選手も出てきている。
 
 こうした選手たちに対して“警鐘”を鳴らしているのが、アトランタ・ブレーブスなどで活躍した通算305勝の左腕投手、トム・グラビンだ。

 1994~95年にかけて行われたストライキにおいて、選手会代表の強硬派であったグラビンは「選手たちの主張が100%正しいものだとしても、彼らが悪者に見えるだろう」とコメント。さらに、「経済的な問題がシーズン開始を妨げているのなら、ファンの立場からすれば、ストのあった94~95年当時と同じようにに見えてしまう」として、ファンへの一定の理解も示した。

 “最後のスト”当時、グラビンは選手会代表として会見に出演することが多く、「野球を奪った悪者」として批判を浴び、ホームのファンからもブーイングを浴びることがあった。だからこそ、選手の主張にも共感しつつも、長期ストによるファン離れへの不安も感じているようだ。

 また、全世界が不安に覆われる未曾有の事態の中、政府をはじめ多くのファンから「野球待望論」が巻き起こっている。それに対しても「平時に戻ってくることの大きな役割として、スポーツが再開することがあるのは分かっている」としつつ、「ただ、選手やその家族に関する健康面の不安を、自らと関係ないからといって退けてはいけない」と、ファンにも“警鐘”を鳴らした。

 果たしてメジャーに野球は戻ってくるのか。まだまだ事態は簡単ではない。

構成●SLUGGER編集部

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