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プロ野球

6球団が1位指名した逸材がなぜ…アマチュア野球ウォッチャー西尾典文が選ぶ「予想外にプロで大成できなかった選手」とは?

西尾典文

2020.05.26

早稲田大で大活躍し、即戦力として西武に入団した大石だが、プロでは目立った実績を残せないまま昨季限りで引退した。写真:朝日新聞社

早稲田大で大活躍し、即戦力として西武に入団した大石だが、プロでは目立った実績を残せないまま昨季限りで引退した。写真:朝日新聞社

 毎年、多くの選手が期待されてプロの世界に飛び込んでくるが、そこで活躍できるのはほんの一握り。ほとんど結果を残せないまま球界を去る例も少なくない。しかし、彼らもアマチュア時代は光り輝いており、そのプレーに多くの人間が魅了されたからこそプロの世界に入ったのだ。今回はそんな選手たちを紹介したい。

 真っ先に思い浮かんだのが大石達也(元西武)だ。そのピッチングを初めて見たのは、彼が福岡大大濠高3年生だった2006年夏の福岡大会・対福岡第一高戦。わずかにクイックの遅さと時折高めに抜けるボールは気になったものの、フォームにまったく悪い癖がなく、当時のノートには17行にわたって称賛の言葉が並んでいる。

 ストレートは最速145キロだったが、速さよりもトータルのバランスの良さが強く印象に残っている。早稲田大に進学後は1年秋の対明治大戦で初めて見たが、ストレートは149キロまでスピードアップ。その後の明治神宮大会では八戸大(現八戸学院大)戦で6回からロングリリーフし、4回を被安打1、7奪三振無失点と完璧なピッチングを見せた。ちなみにこの時、秋山翔吾(レッズ)は八戸大の1番を打っていたが、あっさり空振り三振に終わっている。
 
 試合後、八戸大の選手たちが「大石速かった~」と言いながら引き上げてきたのを今でもよく覚えている。しかし、大学3年くらいから徐々にフォームの欠点が気になってくる。テイクバックで右腕が徐々に背中に入ってくるようになったのだ。4年時にインタビューした時には、本人も高校時代の方がフォームは良かったと語っていた。ドラフトでは6球団競合の末に西武に入団したが、この時の違和感は結局消えることなく、目立った実績を残せないまま昨年限りでユニフォームを脱いだ。しかし、大学1年秋に見せていたボールは間違いなくプロでもトップレベルのものだった。

 大石は大学でも素晴らしいピッチングを見せたが、高校時代が最も印象的なのは木村雄太(元ロッテ)だ。秋田経法大付高(現明桜高)の3年生だった03年春の東北大会でそのピッチングを見たが、189㎝(当時)の長身で細身ながらヒジを柔らかく使った腕の振りから投げ込むサウスポーらしい角度のあるボールは素晴らしいものがあった。木村を見た後の試合で当時東北高の2年生だったダルビッシュ有も一関学院を相手に10奪三振、2失点完投と見事な投球を見せたが、この大会でのインパクトは木村の方が上だったことは間違いない。
 

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