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プロ野球

【12球団“縁の下の力持ち”:西武】森友哉の成長の影に岡田雅利アリ! 積極的な対話でチームを支える“第二捕手”

中島大輔

2020.06.05

日本を代表する森の成長を、そして投手陣を影ながら支える岡田の存在は西武に必要不可欠な存在だ。提供●朝日新聞社

日本を代表する森の成長を、そして投手陣を影ながら支える岡田の存在は西武に必要不可欠な存在だ。提供●朝日新聞社

 チームを支えるのは何もスター選手だけではない。絶対的なレギュラーでなくとも、率先してベンチを盛り上げたり、どんな役割もこなす選手もまた、必要不可欠な存在だ。19日に開幕するプロ野球。異例のシーズンだからこそ、各チームの幹となる「縁の下の力持ち」に注目してほしい!
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「キャッチャーは大変です。ポジションが一つしかないのでね、やっぱり」

 2013年ドラフト6位で大阪ガスから西武に入団し、控え捕手としてチームを支えてきた岡田雅利がそう話していたことがある。

 高卒6年目の森友哉が126試合で先発マスクをかぶってシーズンMVPに輝いた昨シーズン、「第二捕手」としてリーグ連覇に貢献したのが岡田だった。左親指の負傷で36試合の出場にとどまったものの、130万円アップの推定年俸3000万円で契約更改したことが、球団からの評価を物語っている。

「球団からは『森が成長したのも岡田のおかげ』と言ってもらえました」。岡田は森の6歳上で、ともに大阪桐蔭高校出身だ。練習でのキャッチボールはいつも二人で行い、森がタメ語で話しかけるなど、公私ともに近い距離にいる。

 岡田が捕手・森の存在感を大きく感じ始めたのは、18年シーズンだった。

「以前は配球について『こういう球を要求したらこんな結果になったんですけど、どうでしたか?』と聞かれることが多くあったんですけど、最近は『今の打席ではこういう球で詰まらせました。次の打席、どうなりますか?』というところまで聞いてこられるようになって、『ちょっと待てよ』と(笑)。『これで抑えられました』から会話の内容が変わってきたので、『ああ、大きな壁になってきたな』と」
 
 森は一つのポジションを争うライバルだが、同時に後輩であり、ともにチームの勝利を目指す仲間でもある。複雑な関係だが、それでも思ったことを正直に話すのは岡田の人間性だろう。それは投手陣に対しても同じで、特に若手には積極的に話に行く。

「うちの若手は、『インコースで行きたい』と言っていたからサインを出すと、首を振ってしまうことが多くあります。だからしっかりおさらいをして、次に生かしてもらうように話しています。下にゴマをするわけではないけど、そのピッチャーがコーチから『試合で組むキャッチャー、誰がいい?』と聞かれた時、『こうやって言っていたから岡田さんや』となってもらえたらいいし」

 スローイングやブロッキングなど捕手としての基本技術は高く、2年前から積極性を意識して打撃も向上した。もし他チームに移籍すれば、正捕手を狙えるだけの実力を備えている。そんな岡田が第二捕手に控えるのは、チームにとって心強い。以前、秋元宏作バッテリーコーチがこう話していたことがある。

「選手ってどうしても、試合の勝ち負けに慣れてしまう部分があるんです。第二捕手を使っていくメリットは、そうした中で二人の捕手が高め合っていけることですね」

 新型コロナウイルスの影響で開幕が3ヵ月遅れた今季は、シーズン最後まで過密日程が続く。体力面やリード面を考えると、正捕手に続く第二捕手をいかにうまく起用していくかが、ペナントレースの行方を左右するだろう。

 例年以上に、岡田に求められる役割は大きくなりそうだ。

取材・文●中島大輔

【著者プロフィール】 
なかじま・だいすけ/1979年生まれ。2005年から4年間、サッカーの中村俊輔を英国で密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』。『中南米野球はなぜ強いか』で2017年度ミズノスポーツライター賞の優秀賞。

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