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MLB

【MLB今日は何の日】左投げの次は右投げ! 両打ちならぬ「両投げ」のベンディティがメジャーデビュー

出野哲也

2020.06.05

世にも珍しい「両投げ投手」ベンディティ。現在はマイアミ・マーリンズに所属している。(C)Getty Images

世にも珍しい「両投げ投手」ベンディティ。現在はマイアミ・マーリンズに所属している。(C)Getty Images

 今年からMLBでは、投手は最低3人の打者との対戦が義務付けられ(イニング終了の際にはその限りではない)、いわゆるワンポイント・リリーフが禁止された。度重なる投手交代で試合時間が延びるのを防ぐ狙いがあるが、パット・ベンディティのような投手が多くいたら、こんなルールは必要なかった。ベンディティは左右両方の腕で投げられる“スウィッチピッチャー”だからだ。

 彼がオークランド・アスレティックスでメジャーデビューを飾ったのは、2015年6月5日のボストン・レッドソックス戦。2-4で2点を追う7回表から登板し、先頭打者のブロック・ホルトは左打ちなので左で投げて一塁ゴロに打ち取った。次は右打者のハンリー・ラミレスで、特製の6本指グラブを持ち換えて右投手に変身。三遊間を抜くヒットを打たれたが、マイク・ナポリ(右打者)は二塁ゴロで併殺打に切って取った。

 8回も続投し、ともに右打ちのザンダー・ボガーツは遊ゴロ、ムーキー・ベッツは右飛。だが、ここで迎えたのはスイッチヒッターのブレイク・スワイハート。この場合、投手はあらかじめ左右どちらで投げるか明らかにしなければならない――その名も「ベンディティ・ルール」――ので右投げを選択。見事に空振り三振に仕留め、デビュー戦を2回無失点で終えた。
 
 19世紀には両投げの投手はいくつか例があり、1995年にも本来右投手のグレッグ・ハリス(モントリオール・エクスポズ)が左腕で投げた試合があった。しかし日常的に両投げで通しているメジャーリーガーは、20世紀以降はベンディティが初めてだった。

 昨季までメジャー通算58試合に投げているベンディティだが、左打者はのべ127人と対戦して打率.179と抑えているものの、右打者には170人で.286と苦戦。19年の登板は2試合にとどまった。今後彼に続く両手投げはいつか現れるだろうか。練習では左腕でも投げるダルビッシュ有(シカゴ・カブス)ならいけそうな気もするが……。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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