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MLB

21年のストライキは避けられない?…「歓喜なき開幕」を招いたMLB選手会とオーナー側の遺恨の歴史

出野哲也

2020.06.26

リーダーシップをまったく発揮できなかったコミッショナーの責任も重い。(C)Getty Images

リーダーシップをまったく発揮できなかったコミッショナーの責任も重い。(C)Getty Images

 2020年のシーズン開幕をめぐるMLB選手会とオーナー側の対立は結局、妥協点を見つけられないままコミッショナーの裁定によって一応の決着を見ることになった。

 オーナーたちは 無観客試合では収入がなく支出が増えるだけとあって日割り報酬が抑えられる少ない試合数での開催を画策。3月に選手会と合意していたはずの条件を反故にし、一部の強硬派からはシーズン中止でも構わない……との声すら出た。選手会は選手会で、試合数に応じた年俸削減以上の減俸案は断固として拒否。ロブ・マンフレッド・コミッショナーも膠着状態を解決するための対策をまるで打てず、相変わらずの無能ぶりを曝け出した。

 だが、開幕をめぐる食い違いを見るだけでは、事の本質は理解できない。今回の対立の「原点」はもっと根深いところにあるからだ。オーナー側と選手会側の「遺恨の歴史」を振り返ってみよう。
 
 かつて、メジャーリーガーは事実上、オーナーの支配下に置かれていた。「好きなことをして金を稼げる君たちは幸運だ」と言いくるめられ、安い報酬に甘んじていた。ヤンキースのスター捕手ヨギ・ベラは、MVPを獲得した年のオフにも地元の紳士服店でアルバイトをしていたという逸話はよく知られている。

 しかし、選手会は全米鉄鋼労連から招いたマービン・ミラーを会長に据えた1960年代後半から急速に力をつけ、数多くの要求を勝ち取ってきた。FA権や選手年金、肖像権収入など、日本プロ野球も含めて今の選手が享受している権利の大半は、ミラー率いる選手会がオーナーとの闘争の結果に獲得したものだ。

 一方、選手会はその過程で5度にわたってストライキを決行し、逆にオーナー側によるロックアウトも3度あった。中でもサラリーキャップの導入を巡って激しく対立した1994年は8月にストライキに突入し、ワールドシリーズが中止に追い込まれた。
 

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