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MLB

球団数大幅削減にシーズン中止…存亡の危機に立たされるマイナーリーグ

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2020.07.04

ニューヨーク湾の向こうに見えるマンハッタンの景観が美しいスタテンアイランド・ヤンキースの球場。このチームも削減候補に挙げられている。

ニューヨーク湾の向こうに見えるマンハッタンの景観が美しいスタテンアイランド・ヤンキースの球場。このチームも削減候補に挙げられている。

 マイナーリーグが危機に瀕している。6月30日に今季のシーズン中止が決定。予期されていたこととはいえ、多くの関係者が落胆を隠せずにいる。独立採算制で運営するマイナーリーグの球団が、シーズン中止により入場料収入が絶たれたことで大打撃を受けた。すでに球団職員のリストラが行われているが、連邦政府やMLB機構からの支援がなければ、来年までに半数近くのチームが経営破綻に追い込まれると危惧する声も出ている。

 今回のコロナ禍は、マイナーリーグにとって最悪のタイミングで訪れた。折しも、MLBが球団数の大幅削減も含むマイナー全体の再編を進めようとしている最中だったからだ。MLBは来季から現行の162チームを120チームに減らす計画を立てており、すでに削減候補球団の具体名も出ている。マイナーリーグ機構はもちろんこの案に反対していたが、このコロナ禍で受け入れざるを得なくなる可能性が高い。
 
 MLBがマイナー再編を画策する最大の理由は、端的に言えば「合理化」だ。メジャーに上がる可能性がほぼない選手を大量に抱え、貧弱な施設の球場を使用し、移動にも不必要なコストと労力がかかっている――それが、MLB球団側から見たマイナーリーグの現状だ。選手の数自体を減らして少数精鋭にした上で、充実した施設を持ち、かつ親球団の本拠地に近い都市に傘下球団を置くよう再編成したいとの考えは、確かに理には適っている。

 何ともやるせないのは、コロナ禍に見舞われるまでマイナーリーグの経営はすこぶる順調だったことだ。観客動員は15年連続で4000万人を突破、昨年は1試合平均7000人以上を集めたチームが15もあった。日本では最も観客動員が多いソフトバンクでも2000人程度、500人に満たないチームもあることを考えれば、アメリカのマイナー人気の規模が分かるだろう。

 ぼく自身、マイナーリーグの魅力に取りつかれている一人だ。これまで、アメリカ取材のたびに何とか企画をでっち上げたり、家族旅行の旅程に無理やりねじ込んだしたりしながら、いくつものマイナー球場を訪れてきた。
 

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