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MLB

「Wear A Mask」人々にマスク着用を呼びかけるメジャーリーガーたち

宇根夏樹

2020.07.17

マスク姿でトレーニングするフレイジャー。感染防止のためもあるが、人々にマスクを着けてほしいとの思いが込められている。写真:Getty Images

マスク姿でトレーニングするフレイジャー。感染防止のためもあるが、人々にマスクを着けてほしいとの思いが込められている。写真:Getty Images

 サマーキャンプでは、練習中にマスクやフェイスカバーを着用している選手が見受けられる。中には、シーズンが始まってからも、そのスタイルで試合に臨む予定の選手もいる。ハンター・ペンス(ジャイアンツ)はZoomでの記者会見で「プレー中はマスクをしない。(マスク越しに)必要な酸素を得るのは難しい。プレーしていない時は、できる限りマスクを着用するけれど」と言ったが、クリント・フレイジャー(ヤンキース)やアレドミーズ・ディアズ(アストロズ)、ロビンソン・チリノス(レンジャーズ)は、マスクをつけてプレーするつもりだと表明している。

 フレイジャーは「打席の近くには、僕とあと2人がいる」と語っている。日本で言われる“三密”ではないが、確かにホームプレートの周囲には、打者、捕手、球審が位置する。

 この点では、打者よりも捕手と球審の方が“密”の時間は長い。ペンスとフレイジャーは外野手、ディアスは内野手だが、チリノスは捕手だ。キャッチャーマスクの下に、口と鼻を覆うフェイスカバーを着用しているチリノスは、こちらもZoomの記者会見で「試合でもできるかどうか試してみる。打者と審判は近くにいて、距離を保つのも互いに話さないようにするのも難しい。試合中、審判に(判定などについて)僕から訊ねることもあるし、打者に『ハロー』って挨拶されたら僕も『ハロー』って返すからね」と語った。
 
 彼らに先駆け、通算583本塁打の元メジャーリーガー、マーク・マグワイアもマスクの着用を推奨している。先月末、ロサンゼルスのラジオ局の番組に出演し「選手はマスクをつけてプレーすべき」と語っただけでなく、過去の例も紹介した。スペイン風邪が大流行した1918年には、選手だけでなく監督や審判もマスクを着用してプレーし、そのおかげで感染者は少数にとどまったという。実際、打者がマスクをつけて打席に立つ様子を写した当時の写真も残っている。

 また、フレイジャーがマスク(彼の場合はフェイスカバー)を着用する理由は、他にもある。アメリカ国民にマスク着用を啓蒙することだ。アメリカでは、感染者がこれだけ増えてもなおマスクをせずに外出する人が少なくない。メジャーの試合は、無観客であっても、多くの人がテレビやインターネットで観戦する。フレイジャーは「僕を見た人が、同じようにしてくるかもしれない」と語っている。

 そのように考えているのは、フレイジャーだけではない。マイク・トラウト(エンジェルス)の母は、マスク姿で走塁練習をする息子の写真をツイッターにアップし「マイク・トラウトがマスクをつけて走塁できるなら、あなたも外出時にマスクを着用できる。#WearAMask(マスクをつけよう)」と綴っている。メジャーリーガーたちが見本になることで、アメリカの新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かうことを期待したい。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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