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MLB

【2020MLB注目のスターたち】ロナルド・アクーニャJr.&フェルナンド・タティースJr.――新しさと自由を体現する2人の“ジュニア”

城ノ井道人

2020.07.22

髪型も着こなしも、そしてプレースタイルも自由。アクーニャJr.(左)とタティースJr.(右)はまさに新時代のスターだ。写真:Getty Images

髪型も着こなしも、そしてプレースタイルも自由。アクーニャJr.(左)とタティースJr.(右)はまさに新時代のスターだ。写真:Getty Images

 球界にスーパースターがいないという声が聞かれて久しい。理由はさまざまだが、一つにはNBAやNFLの選手と違ってメジャーリーガーは感情表現をあまり前面に出さず、自分自身のPRが十分にできていないという指摘がある。

 MVPを3度受賞しているマイク・トラウト(エンジェルス)がいい例だろう。確かに品行方正、ロールモデルとしての役割は担っているが、スーパースターとしてのカリスマ性には欠ける。プロスポーツはエンターテインメントであることを考えれば、感情豊かに自分を表現することも重要な役目なのではないか。

 MLBもそうした声を意識したのか、2018年のポストシーズンのCMでは「Let The Kids Play」というスローガンを掲げた。バットを投げ、派手に喜び、ジャージを破るなど感情表現を爆発する選手の映像を流した後で、ケン・グリフィーJr.が登場して「No more talk, let the kids play」(理屈じゃないんだ。若いやつらに自由にプレーさせよう)と言い切る。

 このCMで、先頭を切って登場したのがロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)だった。彼と昨年デビューしたフェルナンド・タティースJr.(パドレス)は、〝古臭い〞球界に挑戦状を叩き付けるかのように現れた新世代スーパースター候補の代表格だ。
 
 18年開幕前には大谷翔平(エンジェルス)と評価を二分するトップ・プロスペクトだったアクーニャJr.は、その年のメジャー最年少選手としてデビュー。史上最年少での5試合連続本塁打、球団記録を塗り替えるシーズン8本の先頭打者弾など活躍を続けると、このCMが頻繁に流れたポストシーズンでも、史上最年少の満塁弾を放って新人王を獲得した。昨年も2年目のジンクスなど関係なしに大活躍し、史上2番目の若さで30本塁打&30盗塁を達成。40-40にはわずかに3盗塁及ばなかったものの、盗塁王を獲得した。

 アクーニャJr.はまさに「Let The Kids Play」の精神を体現する存在と言っていい。彼が従来のスター選手と一線を画すのは、心の声に忠実であることだ。ヘルメットを飛ばして走り、塁上で大げさなポーズをとる。チャンスで凡退すれば思いきり悔しさを表現し、好守を見せればダグアウトに戻って親友のオジー・アルビーズと大騒ぎ。そこには何の打算も制約もない。

 まるで「球場は俺の庭だ!」と言わんばかりの振る舞いに少なからず批判の声はあるが、「誰にでも自分のライフスタイルがあるように、俺にも俺のスタイルがある。誰かに失礼なことをしようとか怒らせようとか、そんな気持ちはまったくない。ベースボールへの愛からしていることなんだ」と、本人は意に介していない。
 
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