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プロ野球

ストレート全80球が150キロ超!また『四球・失策』で失点した藤浪晋太郎が、それでも期待できるワケ

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2020.08.06

熱投むなしく3連敗に終わった藤浪。しかしその投球は、確かな期待感を抱かせるものだった。写真:山手琢也

熱投むなしく3連敗に終わった藤浪。しかしその投球は、確かな期待感を抱かせるものだった。写真:山手琢也

「いつもの」藤浪晋太郎と、「いつもじゃない」藤浪晋太郎の2つの顔がのぞかせた試合だった。

 8月5日、阪神が甲子園で巨人を迎えた伝統の一戦、藤浪晋太郎は先発マウンドを託された。ここ数年は投球だけでなく、オフフィールドの面でも期待を裏切ることがあった天才右腕は今季、2戦連続で負け投手にこそなっているものの、そのボールに力強さが蘇り、多くのファンを安堵させていた。

 そして、7回10奪三振1自責点の好投を見せた前回登板に続き、この日も圧倒的な球威で巨人打線を苦しめる。先頭打者の初球に154キロのストレートを投げ込むと、最速157キロを2回もマーク。結局4失点を喫したものの、8回を113球、1四球7奪三振と、2戦連続で素晴らしい投球を見せた。

 もっとも、その4失点は「見慣れた姿」から献上したものでもあった。先制を許した3回、左打者の吉川尚輝に、明らかに外れたボールでストレートの四球を出し、同じ左の若林晃弘にタイムリー。藤浪が課題とする『四球』、『左打者』からの失点となった。そして6回も、自身のエラーで投手の戸郷翔征を出塁させてしまったことが、重い3点につながった。阪神ファンであれば、「あ……ダメだ」と予感してしまう、藤浪の苦手なフィールディングからの“らしい”光景だったと言えるだろう。
 
 今季最初の登板も四球からの満塁弾、前回登板も自身のエラーからの失点を喫して、自らのミスがトリガーとなって好投が泡と消えた。そして、この日も、「いつもの」課題が突きつけられる形となったわけだ。

 しかし、3連敗を喫してもなお、今季の藤浪の投球に期待感が湧いてくるのはなぜだろうか。

 それは、藤浪が大活躍したプロ入り時から、大きくスケールアップを果たそうとしているからではないだろうか。この日の113球のうち80球を投じたストレートは、「最速157キロ」「最低150キロ」と圧巻のスピードを計時した。また、確かに四球絡みからの失点ではあったものの、2試合連続で四球は1つだけ。藤浪が2戦連続1四球以下というのは、実に2015年4月以来のことだった。

 まだまだ“粗削り”な部分はある。しかし藤浪晋太郎が、日本球界が誇る最高級の『ダイヤの原石』であることは、誰もがよく知っているはずだ。一度、鈍くなった光沢は今再び、以前よりも大きく光輝こうとしている。

文●新井裕貴(SLUGGER編集部)

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