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高校野球

新たな投球スタイルで好投した明石商・中森に見る今大会ならではの「意義」

氏原英明

2020.08.16

球数の多さが課題だった中森だが、積極的に攻める新たな投球スタイルを身に着けた。写真:徳原隆元

球数の多さが課題だった中森だが、積極的に攻める新たな投球スタイルを身に着けた。写真:徳原隆元

 甲子園交流試合が5日目を終えた。

 例年と違う大会方式は、多方面に新たな発見を与えてくれる。今までできなかったことをトライするチームもあれば、優勝を決める大会ではないのにモチベーションを保つ選手もいる。

 そんな中、第2試合で帯広農に1対4で敗れた健大高崎の青柳博文監督は「厳しさが足りなかった」と振り返った。

「今年は3年生を中心に起用していくと決めて、彼らを中心にやろうと取り組んできましたけど、下級生を含めた競争の中でやるべきだった。部員全体が同じ方向に向いていなかったかなと思います。3年生だけの世界になってしまって、違ったチーム力が出てこなかったのかなと思います」

 帯広農が下級生を多用していたことも頭にあったのかもしれない。ただ、それを抜きにしても、1~3年生までが足並みを揃えて成立する高校野球で、3年生だけで完結させようとすると、目に見えない部分も含めたチーム力の上積みがないということだろうか。

 一方、今大会ならではのフォーマットの影響か、ピッチングスタイルを変えた投手がいた。
 
 第1試合で登場した明石商のエース・中森俊介だ。今大会屈指の好投手と評判を集めていた中森は、桐生第一との一戦で期待に違わぬ投球を見せた。

 MAX150キロのストレートとスライダー、チェンジアアップ。低めに集めるコマンド能力も含め、かなり質の高いピッチングだった。

 しかし、以前の中森は球数が多いことで知られる投手でもあった。

 昨夏甲子園では2回戦の花咲徳栄戦で135球、準決勝・履正社戦では150球を投げ抜いた。1試合限定とはいえ、今回の大会で中森がどのような投球を見せるかが注目された中、プロ注目の右腕は9回を5安打4四球、115球でまとめた。

 本人はこれまでと異なるスタイルへの手応えをこう語っている。

「去年の履正社戦がそうでしたが、打者を警戒しすぎて球数を多くしているところはあった。今年は打たせて取っていく、自分のボールに自信を持ってストライク先行で投げていくピッチングスタイルに切り替えました」

 センバツや夏の甲子園も含め、トーナメント制で行われる多くの大会が中止になったことで、勝ち負けに強くこだわる必要がなくなった。中森自身が明言しているわけではないが、必要以上に恐れを持っていた敗戦へ怖さがなくなったことが、彼の投球スタイルに大きな影響を与えたことは間違いない。

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