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プロ野球

オリックス・増井浩俊が先発再転向!? “伝説”の2016年と同じ11.5ゲーム差を覆す立役者になれるか

SLUGGER編集部

2020.08.18

抑えの増井が先発として再起を図る。日本ハム時代の輝きの再現はなるか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

抑えの増井が先発として再起を図る。日本ハム時代の輝きの再現はなるか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 プロ野球史上2人目の150ホールド&150セーブを達成した、オリックスの増井浩俊が先発に“再転向”する方針だという。昨季は18セーブを挙げながらも救援リーグワーストのWHIP1.49(50投球回以上)と不安定な投球が続き、シーズン中盤に抑えの座を失った。今季は開幕を二軍で迎え、一軍11登板で防御率3.72となったところで7月末に登録を抹消されている。

 現在チームは16勝30敗4分、首位ソフトバンクとのゲーム差は11.5と、早くも自力優勝が消滅しかけるなど、苦境が続いている。今回、増井に白羽の矢が立ったのは、昨季に最高勝率のタイトルを獲得した山岡泰輔の故障に加えて、増井の「経験」も理由だろう。増井が“最後”に先発登板した2016年といえば、彼の投球がリーグの趨勢に大きな影響を与えたのは、記憶に新しい。

 当時、日本ハムのクローザーを務めていた増井だったが、平均150キロを超えるストレートを操りながらも防御率5.70と大不振。チームも6月24日時点で首位ソフトバンクに11.5ゲーム差を付けられての3位にいた。大谷翔平、有原航平の大活躍によって少しずつその差を詰めるも、投手・大谷が故障、有原も不振、他の主力野手も故障離脱という大ピンチが訪れた。しかし、その窮地を救ったのが、「先発・増井」だった。

 6月の抹消後、二軍で先発調整を行っていた増井は最初の2試合こそ白星を手にすることはできなかったが、8月18日のオリックス戦を7.1回1失点に抑え、プロ1年目の2010年以来となる先発勝利を挙げる。すると、次のロッテ戦では9回1失点完投、さらに9月1日の楽天戦では9回完封と圧巻のピッチングを続けていくのだ。9月にリーグ最多の5勝を挙げた増井は自身初の月間MVPを受賞。そしてチームは、9月中旬にソフトバンクを捉え、そのままリーグ制覇、日本一へと駆け上がっていく。
 
 下記は8月以降の増田の成績だ。

・8/04(ロッテ)5.0回0失点4奪三振/-
・8/11(西武)7.0回2失点8奪三振/●
・8/18(オリックス)7.1回1失点5奪三振/○
・8/25(ロッテ)9.0回1失点 8奪三振/○
・9/01(楽天)9.0回0失点2奪三振/○
・9/09(楽天)7.0回1失点 10奪三振/○
・9/17(ロッテ)7.0回2失点 2奪三振/○
・9/24(楽天)6.0回0失点 8奪三振/○

「先発・増井」は計8試合(57.1回)に登板し、6勝1敗 防御率1.09、2完投という、もはや“本職”以上のパフォーマンスを見せた。平均150キロ近い快速球とフォークに加えて、今ではほとんど投げなくなったスライダー、カーブも非常に効果的だった。ただ、多くのファンがその後も先発を続けてほしいと願っていたのに対し、増井自身は「先発をやっていても楽しくなかった」とまったく乗り気ではなく、その後は18年から加入したオリックスでも一度も先発はしていない。

 増井の先発転向説が浮上したタイミングは、16年に日本ハムがソフトバンクに付けられた最大ゲーム差と同じ(11.5)だったのは、おそらく偶然だろう。ただ、増井を救世主として期待してしまうのも、前例があるだけに十分納得できる。不安があるとすれば、4年前よりも球威が落ちている点だろうか。

 現在36歳を迎えた右腕が、“嫌い”なポジションで再起を図られるのか。非常に興味深い。

構成●SLUGGER編集部

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