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プロ野球

江夏豊が演じた伝説のノーヒッター!延長11回を投げ抜き、自らのバットで…

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2020.08.20

自らサヨナラホームランを放ってノーヒットノーランを達成し、ホームに生還する江夏。彼が作った数々の伝説の一つだ。写真:産経新聞社

自らサヨナラホームランを放ってノーヒットノーランを達成し、ホームに生還する江夏。彼が作った数々の伝説の一つだ。写真:産経新聞社

 ノーヒットノーランは投手の記録だが、打者の協力が全く必要ないというわけではない。日本プロ野球では過去に、「9回終了時点でノーヒットノーランだったが、味方の援護なく延長戦に突入して打たれた」というピッチャーが10人いる。味方が点を取れなければ記録は成立しないし、たとえ引き分けになっても参考記録扱いにしかならない。だが、過去に一人だけ、延長戦に入ってもノーヒットノーランを続け、最後には自らのバットで決着をつけた男がいる。阪神史上最高の左腕投手、江夏豊だ。

 1973年8月30日、甲子園球場で行われた対中日第20回戦は、阪神の江夏と松本幸行の左腕同士の緊迫した投げ合いとなった。江夏だけでなく松本も、5回1死までノーヒットピッチングを続けていた。初安打を打たれた後も散発3安打、二塁も踏ませぬ快投で阪神打線を抑え込み、結局0対0のまま9回まで来てしまった。
 
 江夏は10回表を三者凡退に抑えて援護を待つ。だがその裏、松本がまたも無安打に抑えてしまう。そして11回表を江夏が再度三者凡退に抑えた時点で、球数は142球に達していた。2日前にもリリーフで3イニング投げていた江夏は、すでに疲労の極致にある。

 11回裏、阪神の先頭打者は9番の江夏だった。打席に投手を迎えて、松本は束の間の油断が出たのだろう。もちろん、疲れもあったに違いない。とにかく、江夏への初球に一瞬の気のゆるみが出た。それを江夏がフルスウィングで捉え、渾身の打球は甲子園の空に舞い上がり、ライトスタンドに飛び込むサヨナラホームランとなった。

 延長戦ノーヒットノーランは現在まで史上唯一、そして自分の本塁打で大記録達成に花を添えたのも、現在まで江夏ただ一人である。史上最多のシーズン401奪三振、71年オールスターでの9者連続三振、79年日本シリーズでの“江夏の21球”……これも、数々の記録と伝説を作った江夏が成し遂げた偉業の一つである。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)

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