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MLB

「3点を守り切ってやる!」ダルビッシュの盟友バウアーが見せた意地。サイ・ヤング賞は三つ巴の争いへ

SLUGGER編集部

2020.09.10

熾烈なサイ・ヤング賞争いを演じるダルビッシュ(左)とバウアー(右)の投げ合いは後者に軍配。デグロムも含めて誰が栄誉に輝くか。(C)Getty Images

熾烈なサイ・ヤング賞争いを演じるダルビッシュ(左)とバウアー(右)の投げ合いは後者に軍配。デグロムも含めて誰が栄誉に輝くか。(C)Getty Images

 男のプライドを見た、そんな試合だった。

 サイ・ヤング賞レースの注目カードと謳われた現地9日、シカゴ・カブス対シンシナティ・レッズの一戦。両軍のマッチアップは試合前時点で勝利(7)&防御率(1.44)の二冠のダルビッシュ有と、完封(2)&WHIP(0.86)&被打率(.161)がリーグ1位のトレバー・バウアーとなった。この対戦は8月29日のダブルヘッダー第1戦以来となり、29日は6回無失点のダルビッシュに軍配が上がった。

 両者は親しい間柄として知られ、バウアーはダルビッシュの投球動画を参考に練習していたり、またダルビッシュも昨季前半戦に苦しんでいた際は、バウアーからアドバイスをもらっていたりしている。そしてこの日の試合前にも、バウアーは自身のツイッターでダルビッシュに「友よ、まずは何より今夜の幸運を祈っている。最高の男に勝利を。第2に、君のYouTubeのフォロワーを僕のところへ送ってくれないか? 君のレベルに達しようと頑張っているんだけど、ちょっと後れをとっているんだ。どちらにしても、今夜よろしく&ベストラック!」とメッセージを送っていたほどである。

 果たして、この日に“最高の男”だったのはバウアーだった。

 初回、レッズ打線は1死後に2連続四球で出塁すると、5番のマイク・ムスタカスがカーブを右中間に運ぶ先制の3ランを放つ。ダルビッシュは次の秋山翔吾にもヒットを許したものの、2回は三者連続奪三振、以降の対戦打者17人のうち許した走者は四球による一人のみと立ち直って見せた。しかし、この3点がカブスに大きな重荷となる。
 
 バウアーは4シーム、カッター、シンカー、ナックルカーブと変幻自在の投球でカブス打線を鎮圧し、4回終了までノーヒットピッチング。6回には2ケタとなる10奪三振に到達し、最終的に7.2回を3安打無失点、無四球10奪三振の力投で前回登板のリベンジを果たしたのだ。試合後、バウアーはこうコメントしている。

「ダルビッシュ相手に、味方が取ってくれた得点は本当に大事になってくる。ムースが打席に入って3点を取った時、『OK、3点を守り切ってやる!』って感じだった」

 そしてダルビッシュ自身も、「地球上でバウアーが最高の投手だと思っている。(その相手に)初回に3点を許してはいけなかった」と、盟友へ最高の賛辞を送り、今季2敗目の敗因を振り返っていた。

 今年のダルビッシュ基準からすれば、6回3失点のQSすらも“炎上”の域に入り、防御率1.44→1.77と悪化。それでも7勝は依然としてリーグトップ、9三振を加えて72とした奪三振も、ジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ/70個)を抜いて1位に返り咲いた。とはいえ、この日対戦したバウアーも1個差の2位に入り、防御率は1.74のバウアーの後塵を拝する3位へと後退した。

 サイ・ヤング賞投票で重視されるWAR(勝利貢献度)もまだ1位をキープしており、ダルビッシュが賞レースの先頭にいるのは間違いないが、デグロムとバウアー、そして現在故障中で6勝無敗のマックス・フリード(アトランタ・ブレーブス)との差は肉薄している。果たしてダルビッシュは残りの登板も好投して“逃げ切れる”のか、それともライバルたちが追い抜くのか。サイ・ヤング賞争いは完全な混戦模様となっている。

構成●SLUGGER編集部
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