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MLB

今年のMLBポストシーズンは“バブル方式”。ワールドシリーズは全試合レンジャーズの新球場で開催

宇根夏樹

2020.09.19

ワールドシリーズが行われる予定のグローブライフ・フィールドは、今年オープンしたばかりのレンジャーズの新球場だ。開場1年目でワールドシリーズ実施となるが、レンジャーズが出場できる可能性は……。(C)Getty Images

ワールドシリーズが行われる予定のグローブライフ・フィールドは、今年オープンしたばかりのレンジャーズの新球場だ。開場1年目でワールドシリーズ実施となるが、レンジャーズが出場できる可能性は……。(C)Getty Images

 9月29日(現地時間)から始まる今年のMLBポストシーズンは、最初に3試合制のワイルドカード・シリーズがあり、そこから、5試合制の地区シリーズ、7試合制のリーグ優勝決定シリーズ、そしてワールドシリーズへと進んでいく。ワイルドカード・シリーズは、全試合を第1~4シード(地区優勝3チームと地区2位の3チーム中勝率ベスト)のホームで行うが、その後のシリーズは例年とはやや毛色が異なる。

 ナ・リーグはテキサス州の2球場、ア・リーグは南カリフォルニアの2球場で地区シリーズを開催する。前者がグローブライフ・フィールド(レンジャーズ)とミニッツメイド・パーク(アストロズ)、後者はペトコ・パーク(パドレス)とドジャー・スタジアム(ドジャース)だ。続いて、リーグ優勝決定シリーズはグローブライフ・フィールドとペトコ・パーク、ワールドシリーズはグローブライフ・フィールドが舞台となる。まとまった泡(バブル)の中で開催する“バブル方式”だ。NBAとNHLが採用しているものに近く、互いの本拠地を行き来するよりも、新型コロナウイルスの感染リスクを下げられることから採用された。

 複数の球団が本拠を構えているという点では、ニューヨーク市やシカゴ市、北カリフォルニアのベイエリアでもこのバブル方式を採用できる。さらにシカゴは、ミルウォーキーのミラー・パーク(ブルワーズの本拠地)にも近い。けれども、屋根付きの球場が2つあるのは、テキサス州だけだ。また、南カリフォルニアは滅多に雨が降らないので、こちらも雨天順延によるスケジュールの遅れはほとんど心配ない。だからこそ、この2ヵ所が選ばれたのだ。
 
 南カリフォルニアにはエンジェル・スタジアムもあり、ペトコ・パークへはドジャー・スタジアムよりも近いが、あえてペトコ・パークを選んだのには理由がある。簡単に言うと、公平を期すため。ナ・リーグの地区シリーズとリーグ優勝決定シリーズはア・リーグの球場、ア・リーグはナ・リーグの球場を“中立地”として使用するためだ。これによって、どのチームも本拠地ではない球場で試合を行うことになる(もっとも、エンジェルスにプレーオフ進出の可能性はもはやほとんどないが)。

 仮にレンジャーズがワールドシリーズへ進むとすれば、唯一本拠地を使用できることになる。確かにこれはアドバンテージになるが、レンジャーズのポストシーズン進出はエンジェルスと同じようにほぼ絶望的な状況。今年オープンしたばかりの球場でワールドシリーズが開催されるにもかかわらず、ホームチームが不在というのは皮肉にも思えるが、平等という観点からいえば、その方が都合がいいのは確かだ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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