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【2020日本人メジャーリーガー総括:大谷翔平】短縮シーズンで高い修正能力を生かせず投打とも失望の結果

斎藤庸裕

2020.12.21

2020年は、大谷にとってキャリアで最も厳しいシーズンになった。来季のリベンジを期待したい。(C)Getty Images

2020年は、大谷にとってキャリアで最も厳しいシーズンになった。来季のリベンジを期待したい。(C)Getty Images

 二刀流復活をかけて臨んだ大谷翔平の2020年シーズンは、投打とも思い描いた結果にはならなかった。投手としては右腕回内屈筋群の損傷で2試合の登板に終わり、0勝1敗、防御率37.50。打者としては153打数で打率.190、7本塁打、24打点の成績にとどまった。9月27日、シーズン最終戦の試合前、大谷は「もちろん、いい年ではなかったですし、改善点、課題はある。毎年そうですけど、オフシーズンに取り組んでいきたい」と淡々と話した。

 右腕の故障により、8月上旬から打者に専念した。中軸として期待していたジョー・マッドン監督は「2ヵ月というシーズンがどれほど難しいものか。彼は典型的な例」と振り返った。例年の162試合であれば、春先に調子が悪くても夏場にかけて復調を待つことができる。だが、60試合の短縮シーズンではそうもいかない。プレーオフ進出をかけた試合が続いていた9月中旬、同監督は大谷を先発メンバーから外し、好調の選手の起用を優先した。

 結局、2ヵ月間で本来の打撃を取り戻せないまま、シーズンが終わった。同監督は「投げられなくなり、打撃へ重きを置くようになった。好スタートがきれず、時には1ヵ月かけて(調子を)戻すものが、2~3週間しか残っていなかった。チームに貢献しようと急いだが、時間が足りなかった」と分析。精神面の影響を指摘した。
 修正能力の高さが大谷の強みでもあった。メジャー1年目の春のキャンプでは打率.125と苦しみ、投手では0勝1敗、防御率27・00と結果が出なかった。それでも、打者ではタイミングの取り方を修正し、投手では生命線でもあるスプリットの精度を上げ、開幕から投打で大活躍。ディノ・イブル三塁コーチ(当時)が「コーチ陣からこれをやってみようと提案されたことを、すぐに形にできる」と目を丸くしたように、変化にアジャストする能力に優れていた。

 だが、今年は復調の兆しを見せてもそれを継続できず、修正しきれなかった。大谷は「何をやれば確実に良くなるというのは誰も分からないので。一つ一つ試しながら、練習の中からいい感覚というのを自分なり選んでいくというのが一番大事かなと思う」と言った。異例の60試合のシーズンで、改善法が見つからなかった。だが、条件は皆同じ。チームメイトのアンソニー・レンドーンやジャスティン・アップトンのように、不調から抜け出した選手もいた。引き出しを増やし、修正能力をさらに磨くことも、来季の課題となるだろう。

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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